EPA看護師を解説 米野静岡県立大教授ら 独自調査で課題指摘

 日イ間で2008年7月に発行した経済連携協定(EPA)に基づき、日本政府はインドネシアから看護師・介護福祉士の候補者を受け入れている。事業は10年以上続き、ベトナム、フィリピンでも展開されているが、日本の看護師国家試験の合格率低迷や定着率などを課題として指摘する意見がある。
 2021年4月に静岡県立大国際関係学部教授(文化人類学専攻)に就任した米野みちよさんらがこのほど、「外国人看護師―EPAによる受入れは何をもたらしたのか」(東京大学出版会、共編著書)を著した=写真。
 EPAの介護士を扱った書籍はこれまで多く出版されてきたが、本書はインドネシア・ベトナム、フィリピンの3つの送り出し国の看護師分野に特化して解説した。
 全10章からなり、インドネシア人の専門家も執筆陣に加わった。先行研究などの文献解説に比重を置かず、介護現場へのインタビューや独自調査を盛り込むことで、多面的に課題を浮かび上がらせた。
 新型コロナウイルス感染症の影響で、外国との往来が止まったことで環境が変化したフィリピンの事例や、日本滞在中の看護師らの現状を報告する挑戦もした。
 本書ではEPAに関する受け入れ事業を、「技能実習生などの介護領域への外国人労働者の導入へ、日本が舵を切るにあたって一つの試金石となりうる試み」だったと位置付ける。
 米野さんは留学生や教員として20年以上にわたり、フィリピンに在住した経験がある。
 国立フィリピン大でも教鞭をとり、東南アジアの文化を考察してきただけに視点は鋭く、かつ温かい。「日本語教育が十分ではない人が来日することで、教育する日本人看護師の負担が増すケースがある。双方にとって良い制度を構築していく必要がある」と指摘する。

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