補修作業の男逮捕 大使館職員殺害事件 「嫌な思いした」と供述

 東ジャカルタ・チピナンに住む在インドネシア日本大使館非常勤職員の岩田せつ子=セツコ・マデ・オカ=さん(66)の遺体が自宅浴室で見つかった事件で、東ジャカルタ警察は5日、せつ子さんを殺害したとして、殺人容疑でトニー・ヒダヤット容疑者(34)を、バンテン州パンデグラン県内の自宅で逮捕した。トニー容疑者はせつ子さん宅の補修工事に従事していた。

 せつ子さん宅で3日朝、頭などを角材で殴った後、口と鼻に粘着テープを張り付け、殺害したとされる。東ジャカルタ警察は、死因を窒息とみている。せつ子さんの遺体の両足はロープでシャワーに縛り付けられ、両手も後ろ手で束縛されていた。
 せつ子さん宅では、1カ月ほど前から親戚の業者が自宅のペンキ塗りなどの作業を行っており、トニー容疑者を含む4人の作業員が出入りしていた。
 じゃかるた新聞の取材に応じた東ジャカルタ警察のディアン・ペリ刑事局長によると、トニー容疑者は取り調べに対し、「せつ子さんに『仕事ぶりが怠慢だ』としかられ、嫌な思いをしていた」と供述しているという。
 トニー容疑者は犯行当日、せつ子さんに雨漏りの修理を申し出て室内に入り、1人で犯行に及んだと話している。殺害後、せつ子さんの携帯電話と預金通帳、キャッシュカードを奪って逃走。身柄拘束時には、これらの品を全て所持していた。
 せつ子さんの携帯電話に記録されていたキャッシュカードの暗証番号を用い、ATM(現金自動預払機)から現金300万ルピアを引き出したとも供述している。
 一方、トニー容疑者は「殺すつもりで入ったのではない。(通帳なども)たまたま置いてあったものを取った」として、計画性や、金品目的の犯行だったことを否定しているといい、同署が詳しい犯行動機や供述の裏付け、共犯の有無についても親族から事情を聴くなど、慎重に捜査を進めている。
 せつ子さんは約40年前に来イ。1年半前から大使館領事部の非常勤職員として事務補助にあたっていた。連絡が途絶えたことを中部ジャワ州ソロ在住の息子が心配して警察に捜索を依頼。警察が4日午後5時ごろ、遺体を見つけた。同時期に姿が見えなくなっていたトニー容疑者が犯行に関わった疑いが強いとして、警察が行方を追っていた。
 せつ子さんは戦後賠償留学生のマデ・オカさん(故人)と結婚し、インドネシア国籍を取得。大使館勤務の前はジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)などにも勤務。インドネシア人男性と結婚した日本女性の集まり「ひまわり会」や、福祉友の会の婦人部でも活動していた。
 告別式は12日午前に北ジャカルタ・チリンチンでヒンドゥー式で行う予定。弔問は中央ジャカルタ・サレンバの国立チプトマングンクスモ病院(RSCM)の遺体安置所で受け付ける。

社会 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly