タムリン時計台、移設始まる 中央ジャカルタ MRT工事の影響で
大量高速鉄道(MRT)南北線第2フェーズの工事に伴い、1日、タムリン時計台(中央ジャカルタ)の移設が始まった。この歴史的な時計台は1969年に建設、タムリン駅の工事が終わるまで中央ジャカルタのモナス(独立記念塔)広場で保管される。
時計台は、タムリン通りにあるインドネシア中央銀行(BI)前の交差点中央に位置する。故スハルト氏が第2代大統領に就任した翌年に設置され、以来、街の風景に溶け込み、ジャカルタのシンボルの一つとして、時を刻んできた。
じゃかるた新聞の取材にMRT南北線第2フェーズのプロジェクトマネージャー、リズキ・シェブバカル氏は、時計台の移動理由について「時計台の基礎部分がMRT工事の掘削エリアに入り込んでいる」と説明した。
リズキ氏によると、時計台は時計、軸、基礎の3つの部位に分けて運ばれる。モナス広場に移設した後、老朽化した部位を修理する。また移設期間中、時計台は一般公開されない。
移設日程については、1~8日に時計台移設に伴う事前調査、9~24日に解体作業のための足場づくり、25日から解体作業が始まる。作業時間は交通量が減る午後10時からで、時計台の移設は清水建設が受注、下請けの地場建設会社「スルヤ・ヌサンタラ・コンストルクシ」が移設作業を行う。リズキ氏は、「約35日間かけて移設作業を実施する予定だが、道路封鎖はしない」と述べた。
高さ12・5メートルのタムリン時計台は、スイスの老舗時計メーカー「ENICAR(エニカ)」が寄贈。ジャカルタ市民に時間の大切さを実感してもらうために建設された。(長田陸)