「ほかと違うモールに」 プラザ・スナヤンの大石さん 「日本に学ぶ」講演会開催 アル・アズハル大日本研究センター

 アル・アズハル大学文学部日本研究センターは1日、南ジャカルタの同大キャンパスで、「チャレンジ! 日本に学ぶ」をテーマとした講演会を開いた。日本語学科の学生に、ビジネス界などの第一線で働く日本人から話を聞くことで、日本への関心を高めてもらおうと、文学部日本文学研究科の高殿良博教授らが立案し、昨年9月に開始した企画で今回が5回目。鹿島建設の現地関連会社で、プラザ・スナヤンを中心としたスナヤン・スクウェアを開発・運営するスナヤン・トリカルヤ・スンパナ(STS)社社長の大石修一さんが事業の歴史や運営施設などについて講演した。

 「プラザ・スナヤンに行ったことがない人は手を挙げて」
 冒頭、大石さんが学生たちに向かって問いかけると、手を挙げた人は皆無。「じゃあ、みんなここにいていいです」と話すと学生たちから笑いが上がった。
 インドネシアの国の概況や人口構成について触れ、「国民の1%前後がスーパーリッチ(超富裕層)と言われており、その数は240万人になる。シンガポールの人口は500万人ほど」「モノレールは中止され、柱が残ったままだが、地下鉄部分を含むMRT(大量高速交通システム)は、日本政府の支援もあり、確実に進む。とはいえ、向こう10年は車中心の社会が続く」などと、図や写真などを交えて説明。ショッピングモールとオフィスビル、マンションやホテルを合わせた複合施設を運営していく上で、考慮に入れるべき状況などを解説した。
 スペースをゆったりと取っているのが特徴のプラザ・スナヤンでは「ほかと違うことをやりたい」として、インドネシアで初めてとなる外資系飲食店の入居などを進めている。また、国際ショッピングセンター協会(ICSC)に加盟。毎年、同協会が定める賞に申請し、表彰も受けている。大石さんは「国際水準の質をいかに維持するかの一環。社員のモチベーションにもなるし、『インドネシアだからできない』という言い訳はだめだ」と指摘。また、同スクウェアを訪れる車や客の数や入居店舗の売上、一人当たりや平米当たりの売上などの統計を取り、分析することで、健全な運営状態を維持するよう心掛けているとし、「われわれが儲けすぎてはいけないし、テナントが儲けすぎても駄目」と述べ、長期的な視野で事業を考えていく必要があると強調した。
 同スクウェアの開発は、鹿島が1989年に96年から40年間のBOT(建設・運営・譲渡)契約をインドネシア政府と締結したのが始まり。現地パートナーで国家官房管轄下のブンカルノ競技場管理局(BPGBK)に、一時金として500万ドルを支払い、STS社の株式10%を無償で供与、2011年まで毎年40万ドルを土地代として支払うことなどが盛り込まれた。
 95年から駐在している大石さんは、当時、契約内容や相場が良い条件なのか悪い条件なのかがさっぱり見当が付かなかったというが、96年のプラザ・スナヤン開業から17年近く経ち、「今では鹿島はいっぱい儲けています」と語ると笑いが起こった。
 質疑応答で、最初は遠慮気味だった学生たちも次々に手を挙げるようになった。「2036年以降はどうなるのか」という質問に対し、「資産自体はインドネシア政府に譲渡することになると思うが、運営自体は政府が行うのは現実的でなく、委託を受けるような形になるのではないか」と返答した。
 リアウ諸島州バタム市から派遣されている同大日本語学科4年生のアリ・ムサナさん(34)は「プラザ・スナヤンはよく行っているが、日系企業が運営しているということは初めて知った。彼らがどのようにモールを運営しているかが良く分かった」と感想を話した。

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