庶民の横顔に険しさ

 オートバイの追突事故に遭遇した。中央ジャカルタの二車線道路を流れに乗って走行中、脇道からオートバイが飛び出してきた。速度差がありすぎ、このままだと追突する。右後方にはトラックがいて逃げ道がなく、急制動をかけた。
 反射的に後続を確認したが、2人乗りのバイクタクシーは私をよけようとトラックと接触。バランスを失ったまま私のオートバイにぶつかり、転倒した。
 私はすでに停止しており、バイクタクシーも停車寸前。衝撃は小さかったが、後続の運転手はオートバイから放り出された。幸いにも大事には至らなかったが、驚いたのはここからだ。
 すくっと立ち上がった運転手は、私には目もくれず、飛び出したオートバイの運転手を引きずり下ろし、すさまじい剣幕で抗議を始めた。殴りはしないものの、胸ぐらをつかんで怒鳴りつけた。
 後方確認もせず、のろのろと割り込んできたのだから、私も加勢したいぐらいだが、それよりも血走った運転手の険しい横顔に圧倒された。
 最近、庶民が見せる険しい表情が気になる。この運転手だけではなく、犠牲祭でも指を突き出して取材を止めるよう、激高する一群に取り囲まれた。
 新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、長引く経済停滞で庶民の暮らしは苦しさを増している。感じる治安悪化とは肌感覚に過ぎず、地域差もあろう。ただ、庶民が不満を蓄積しているのは間違いなく、在留邦人の皆さまにおいても、トラブルに巻き込まれぬよう注意されたい。(じゃかるた新聞=長谷川周人)
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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、本欄では同窓会や同好会、同郷会の皆さまからのイベント開催報告の募集を停止しております。これに代わり、暮らしの中で見つけた新たな発見や、インドネシア生活で感じたこと、思い出などについてのご寄稿を募集します。
 原稿は写真1枚付き。文末に氏名かペンネームをご記載ください。掲載時は12文字詰で20~60行程度になるよう、編集させていただきます。
 投稿は担当者(メールjalanjalan@jkshimbun.com)まで。ご応募お待ちしています。

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