飴玉硬貨

 個人経営の飲み物や消耗品を販売している小売店。日本ではあまり見かけないが、昔ながらのたばこ屋や駄菓子屋の雰囲気に近いかもしれない。あるいは駅のキオスクだろうか。なぜだか子どもの時から、そういう無駄がなく、物が隙間なく整頓して並べられた小さい店や空間が好きだった。
 まだインドネシアに来たばかりのころ、近所の小売店で水か何かを買った。おつりは200ルピアのような細かい金額で、渡されるのを待っていたが、なかなか出てこない。店の中年男性は面倒くさそうに、個包装の飴で満たされたプラスチックの箱を差し出した=写真。
 「おつりがないから、これでいいか」そう言われて少し驚いたが、仕方なく自分では買うことのないだろう飴を受け取った。しばらくしてインドネシアの友人にこのことを話すと、そう珍しいことではないようだ。
 インドネシアの硬貨の価値は日本のものとは違う。100ルピア硬貨は1円玉にもならない。ペラペラで、時々ベタベタした汚れのついた100ルピア硬貨を手にすると、反対に10円玉や500円玉のずっしりとした重みを思い出す。
 しかし今になって考えると、飴をおつりの変わりにするのはなんとなく粋だ。そして飴玉の硬貨が通用する世界はどことなく懐かしい。たとえばアイスの当たり棒のように、かつて日本にもこういう文化がもっとあったのだろう。(じゃかるた新聞=三好由華)
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