民主党支持者が「襲撃」 幹事長の大統領二男 党首も同行 北マルクで 背景に内部分裂か

 二十四日午前、民主党のアナス・ウルバニングルム党首とユドヨノ大統領二男のエディ・バスコロ(通称イバス)同党幹事長が北マルク州テルナテのスルタン・バブラ空港に到着した際、同党支持者に襲撃される事件が発生した。二人にけがはなかったが、イバス氏を警護していた大統領警備隊の隊員二人が軽傷を負った。現職大統領の息子で政権与党の幹事長を、同じ党の支持者が襲撃するという前代未聞の事件に対し、民主党の現執行部の統率力不足や求心力低下を指摘する声が上がっている。

 地元メディアの報道によると、襲撃したのは同党州支部長を務めるタイブ・アルマイン同州知事の支持者。アナス氏とイバス氏は新しい州支部長を選出するための幹部会議に出席するためテルナテを訪れた。同知事支持者はアナス、イバス両氏など党中央執行部が同知事以外の候補を州支部代表に選出する意向を持っているとみて、両氏を襲撃したとみられている。
 同州警察は二十五日、襲撃した一人を逮捕したと発表。十三人から事情聴取を行うなど、ほかの関与者についても捜査を進めている。
 国家情報庁(BIN)のマルチアノ・ノルマン長官はイバス氏を含めた大統領の親族は大統領警備隊が警護に当たっていると説明した上で、襲撃を避けることができなかったのは、同警備隊の責任との見方を否定。「現在、事件について調査を進めている」と語った。
 ジョコ・スヤント政治・法務・治安担当調整相は「暴力はどのような理由があろうとも弁護の余地がないものだ」と批判。国家警察に捜査を進めるよう指示したと明らかにした。
 アナス氏は事件後に声明を発表。「すべては統制下にある」とした上で、同州支部が「長い期間に及んでいる内部での政治闘争を抑えられていなかった」と州支部の責任に言及した。
 イバス氏も「事件を非常に残念に思う。このような暴力は党の倫理規定に照らし合わせて許容できるものではない」との声明を発表した。

■党内まとめきれず?
 アナス氏は四十二歳、イバス氏は三十一歳とともに若く、民主党内をまとめきれていないことが事件の背景にあるとの見方も出ている。
 大統領二男のイバス氏は政治経験がほとんどなかったにもかかわらず、弱冠二十九歳で党ナンバー2の幹事長に就任した際には「縁故主義」との批判の声が上がっていた。
 アナス氏は、党幹部がすでに逮捕されている汚職事件への関与が昨年から指摘されており、党幹部がアナス氏のことを公然と批判するなど、求心力の低下が指摘されている。反アナス氏陣営がアナス氏の追い落としを画策しているとの見方もあり、民主党が内部分裂状態にあると報じる地元メディアもあった。

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