助け合う人々

 雨季のピークは過ぎたようだが、まだまだ一時的な豪雨に見舞われる日もある。
 以前、洪水の現場=写真=に取材に行った時、人々が助け合う姿をよく見かけた。冠水した道路を通ろうとする車を、率先して誘導していたのはバイクタクシーの運転手。雨がっぱを着て、雨の中、知らない車が道路を通れるように手伝っていた。
 チップをもらうわけでもなく、なぜそんなことをするのか。誘導していた1人に尋ねると、誇るでもなく当然のように「誰か困っていたら助けるんだ」と言った。
 別の洪水現場では、食事を配達するバイクタクシーが、冠水で目的地までの道路に入れず、立ち止まっていた。運転手は困惑した表情を浮かべながら、宅配先に電話をかけ、事情を説明していた。その道路にはバイクどころか、歩いて通ることも難しいほど雨水が溜まっていた。すると地元住民と思しき3、4人がガヤガヤと集まってきて、それぞれスマホをいじり始めた。よく見ると皆、地図アプリを開いており、運転手に他のまわり道を提案していた。
 インドネシアでの生活で、損得考えず、すぐに駆け寄って他人を助ける姿勢を幾度となく目にしてきた。彼らにとって助け合うということの根底には、古来からの生きていくための術や、宗教の教義があるのかもしれないが、人との触れあいを大切にすることの延長のようにも思える。(じゃかるた新聞=三好由華)
×   ×
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、本欄では同窓会や同好会、同郷会の皆さまからのイベント開催報告の募集を停止しております。これに代わり、暮らしの中で見つけた新たな発見や、インドネシア生活で感じたこと、思い出などについてのご寄稿を募集します。
 原稿は写真1枚付き。文末に氏名かペンネームをご記載ください。掲載時は12文字詰で20~60行程度になるよう、編集させていただきます。
 投稿は担当者(メールjalanjalan@jkshimbun.com)まで。ご応募お待ちしています。

経済 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly