身に染みる人の心の温かさ ホテルでの隔離生活
一時帰国からジャカルタに戻ると、待っているのはホテルでの強制隔離。部屋から出るのはPCR検査の時に限られ、実質的な〝幽閉生活〟に入る。だが、これで新型コロナウイルスの感染拡大を防げるなら、協力せねばと腹を決めた。
最初に言葉を交わしたのは2日目のPCR検査の時だった。中国四川省の成都から来た中国人グループで、人に飢えているのか、インドネシアビジネスの裏表を話し出した。
ただ、内容は興味深いが、興奮気味に話されると感染が怖い。早々に退散すると、今度は隣室のイエメン人が声をかけてきた。国籍が違っても心境はみな同じなのだろう。この閉塞感に誰もがうんざりしているようだった。
さて、単調な食事にも飽きてきた4日目、誰かがドアをノックする。時間的に食事でもクリーニングでもない。ドアを開けてみると、大きな紙袋を抱えたホテルスタッフがニッコリ笑う。なんだろう……。
開いてみると、寿司にあんパンに果物とありがたき慰問袋だった。そしてもちろん、ビールも。そこで夕食はホテル提供の揚げ物系弁当は遠慮して、1人晩酌=写真=と相成った。酒が五臓六腑に染み渡ると言うけれど、この日ばかりは人の優しさが心にまで染み渡った気がする。(じゃかるた新聞=長谷川周人)
× ×
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、本欄では同窓会や同好会、同郷会の皆さまからのイベント開催報告の募集を停止しております。これに代わり、暮らしの中で見つけた新たな発見や、インドネシア生活で感じたこと、思い出などについてのご寄稿を募集します。
原稿は写真1枚付き。文末に氏名かペンネームをご記載ください。
掲載時は12文字詰で20~60行程度になるよう、編集させていただきます。
投稿は担当者(メールjalanjalan@jkshimbun.com)まで。ご応募お待ちしています。