中国哨戒艇が領海侵入 ナトゥナ諸島 退去拒否、海域留まる
リアウ諸島州ナトゥナ諸島付近の排他的経済水域(EEZ)に12日、中国海警局の公船が侵入した。インドネシアの海上保安機構(BAKAMLA)による警告を無視して、13日朝時点で同海域に留まり続けている。地元メディアが報じた。
侵入したのは中国海警局の哨戒艇「海警5204号」で、12日午前10時ごろ、インドネシアの領海に侵入しているのをBAKAMLAが探知した。BAKAMLAは巡視艇を現場海域に急行させ、海警5204号を追跡。海域からの退去を命じたものの、同巡視艇は「九段線の内側をパトロールしている」として呼びかけを拒否。13日朝の段階で、同海域に留まっている。
ナトゥナ諸島沖のEEZは、中国が独自に設定し権益を主張している「九段線」と一部海域が接している。昨年1月にも中国海警局の公船と漁船が同海域に侵入したとして、国軍の艦艇や戦闘機が急派された。
こうした状況下、国防省は6月、BAKAMLAに対して国軍と同様の装備を保有することを許可。9日にはBAKAMLAと国営武器製造ピンダッドとの間で、艦艇に搭載可能な12・7ミリ重機関銃の売買契約が締結された。また、7月にはナトゥナ諸島沖を含む複数の海域で、海軍が大規模な軍事演習を実施するなど、中国の動きをけん制してきた。
南シナ海情勢をめぐっては、中国海軍が8月下旬、米軍主催の「環太平洋合同演習(リムパック)」に対抗する形で大規模な軍事演習を実施し、空母など大型艦を攻撃する能力も持つ弾道ミサイル「東風26」などを発射。トランプ米政権へのけん制を狙ったものとみられている。(高地伸幸)