「復興のシンボルに」 マナドでシーラカンス撮影 アクアマリンふくしま 震災後初の調査で
インドネシアで二〇〇五年からシーラカンスの生態調査を行っている福島県いわき市小名浜の水族館「アクアマリンふくしま」は十四日、北スラウェシ州のマナド湾でシーラカンスの撮影に成功したと発表した。アクアマリンは東日本大震災による停電で、約二十万匹の魚が死ぬなど大きな被害を受けたが、震災から約四カ月後にいち早く再オープン。今月二日には震災後初となるシーラカンスの調査を開始し、早くも撮影に成功した。調査を行った同館シーラカンス研究所グループの岩田雅光グループリーダーは十五日、滞在中のマナドで「復興のシンボルになればうれしい」と話した。
二日から十三日まで調査を行い、四日に水深百六十四メートルで成体を撮影。十三日にも水深百四十メートルで成体を撮影した。
アクアマリンは、「生きた化石」と呼ばれ生態がほとんど解明されていないシーラカンスの姿を自走式水中カメラで撮影しようと、〇五年からインドネシア科学院(LIPI)などと合同で調査に乗り出してきた。〇六年には中部スラウェシ州ブオール沖で日本の研究チームとして初めてシーラカンスの撮影に成功。〇九年にはマナド湾でシーラカンスの稚魚の撮影に成功し、一〇年十一月にはパプア州ビアク島近海でもシーラカンスを撮影。謎の多い古代魚の生態解明に大きく貢献してきた。
アクアマリンは、震災で魚が大量に死んだほか、駐車場が津波で破壊されるなど大きな被害を受け、休業を余儀なくされたが、「復興の象徴に」との思いから、開館十一周年目となる震災からわずか四カ月後の昨年七月十五日に再スタートを切った。
震災、福島第一原発の事故の影響で訪問者数は現在、震災前の五割ほどと低調。それでも再開直後の二、三割から回復してきている。
シーラカンスは同館の目玉の一つ。アフリカのシーラカンスの標本を展示し、インドネシアでの調査で撮影したシーラカンスの映像を流すなどでシーラカンスの特徴を説明するコーナーは震災前から好評を得ており、インドネシアの海に生息するシーラカンスの姿は多くの来場者の目を引いてきた。撮影を成功させた岩田さんはじゃかるた新聞の電話取材に対し「震災前から力を入れ、続けてきたシーラカンスの調査を再開することの意味は大きい。調査再開で、震災から立ち上がる姿をみせることができた。(結果として、シーラカンスを撮影でき、)復興のシンボルになる。アクアマリンにしかできないことがある」と力を込めた。