受け入れ再開を祈って 苦悩の派遣機関

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、インドネシア人技術実習生たちは派遣されるはずの日本での受け入れ再開のめどがつかず、国内待機を強いられている。先行きが見えない中、国内の派遣機関はその存在意義を問われようとしている。しかし、それでも受け入れ再開の日を信じ、実習生が着任後、日本社会に順応できるよう準備を続けている機関もある。
 西ジャワ州デポック市の「KOBA MIRAI JAPAN」もそのひとつ。経営者によると、「大規模社会的制限(PSBB)」の中では活動はオンラインの研修プログラムに限定してきたが、規制緩和を受けて状況は徐々に好転してきた。「もちろん保健プロトコルの厳守が大前提となるが、対面での研修プログラムの実施許可を得ることができた」という。
 もっとも、教室内でのプログラムは1日4時間と時限付きだ。そこで研修資料はオンラインで配布するなど、対面とオンラインを使い分けながら効率的な派遣準備に努めている。
 ただ、やはり日本側の受け入れ再開はあるのか? それがいつなのか? 彼ら派遣機関の最大の懸念はここにある。
 「インドネシア政府はまだゴーサインを出しておらず、日本もまだ外国人観光客への門戸を閉じたままだ」「すべてが一日も早く正常化することを願っている」。派遣機関の経営者たちはこう口をそろえる。
 厚生労働省の昨年10月末時点の集計によると、「技能実習」の在留資格で日本に在留しているインドネシア人の数は3万2480人。インドネシア国内での研修プログラムには受講希望者が絶えない状況だ。
 国内の研修機関「ZEN」では、参加希望者の拡大を受けて「オンラインも利用するが、教室も増やし続けている」(ジャンティ・ジョギア代表)。メッセージアプリ「ワッツアップ」のグループを立ち上げ、研修参加者をボゴールに拠点を置く機関に所属するすべてのトレーナーと結び好評を得ているという。
 「誰もが願っているのは、受け入れ再開。感染拡大に1日も早く歯止めがかかり、日本に行けるよう祈る私たちにとって、ワッツアップグループでの情報共有は精神的な支えになっている」(ジャンティ)。
文・ユリアニ・トリアルサリ
編集・リリス・イラワティ

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