寄付の自転車を転売か 英国製ブロンプトン 情報提供呼びかけ
インドネシアで自転車ブームが過熱する中、英国で医療従事者に寄付された高級折り畳み自転車「ブロンプトン」が盗難に遭い、インドネシアで転売されている可能性が出てきた。地元メディアが報じた。
製造元のブロンプトン・バイシクルは新型コロナ問題が深刻化した4月、英国で医療関係者が公共交通機関を使わずに通勤できるよう、自転車を寄付するプロジェクト「ワーク・フォー・ヒーローズ(WFH)」を開始。クラウドファンディングで資金を調達し、約900台を国営医療サービス事業「NHS」に従事する医療関係者に寄付した。
しかし、寄付された自転車は転売を目的とした盗難事件が続発。複数の英国メディアによると、14日までに少なくとも12人がブロンプトンを盗んだ疑いで逮捕されている。
同社は6月末にWFHでの寄付されたことを示すロゴ付きの自転車が、インドネシアでインターネットを通じて販売されていることを発見。盗難被害に遭った自転車が転売されている可能性があるとし、愛好家団体「ブロンプトン・オーナーズ・グループ・インドネシア」が15日、SNSを通じて情報提供を呼び掛けた。同社は寄付された自転車の販売を認めず、盗難車の所在を特定し、寄付を受けた医療従事者に返還する方針を示している。
地元メディアによると、国内でブロンプトンは過去3年間で約5千台が販売された。販売価格は一台あたり3千万~8千万ルピアだが、新型コロナウイルス感染拡大に後押しされた自転車ブームで値段が高騰。海外でインドネシア人による投機的な〝買い占め〟も行われているという。(高地伸幸)