バンブーバイクで「自然と共生」訴え

 木製ラジオの製作で世界に名を馳せたシンギー・スシロ・カルトノ。今度はバンブーバイク、つまり竹製自転車を開発して注目を集めている。その根底にあるキーワードは、「自然との共生」だ。
 シンギーのバンブーバイクが商業ベースに乗ったのは2013年のこと。インドネシア語で自転車は「スペダ」。朝は「パギ」。涼風に身を任せ、早朝サイクリングを楽しんでほしいと、2語を掛け合わせて「スペダギ」と名付けた。
 生産拠点は中部ジャワ州のテマングンにある。15年に日本上陸を果たし、山口県山口市の阿東地区にオフィスとスタジオを開設。東京造形大学(東京・八王子)に情報発信拠点を置く。
 バンブーバイクとは、文字通り竹製自転車だ。ギヤなどは既存の部品を使い、フレーム部分が竹となる。バンドン工科大学の工芸・デザイン学科を卒業したシンギーの解説を聞こう。「ジャイアント・バンブーと呼ばれるペトゥン竹を使う。強靭で、(節から節までの茎となる)稈の肉が厚い。なにより重要なのは、地元で入手可能なことだ」
 村の活性化活動に端を発したバンブーバイクは各国で賞賛を浴びることになり、日本では18年度の「グッドデザイン金賞」(経済産業大臣賞)を受賞した。
 シンギーが日本にこだわるのは、理由があった。農村の開発と環境保全を考える時、インドネシアも日本も遠い昔から「自然との共生」を重視してきた点だ。したがって、スペダギが日本市場で高く評価されても、量産化による利益追求だけでなく、自らの価値観、「自然との共生」を訴える。
 「どの国にあっても、若い世代が環境問題をしっかり理解すべき。それができてこそ、母なる自然に心から感謝を示すことができるだろう」
 訪日時には東京造形大での講演を忘れない。ゲスト講師として自然との共生を説く「スペダギ運動」を日本の学生らに訴えるためだ。触発される学生も少なくなく、シンギーは彼らを自然豊かなテマングンを案内。あるいは伝統市場を歩きながら私たち食生活を足下から見直す機会を設けてきた。
 シンギーの「スペダギ運動」の根底を支える価値観が3つある。自立していること。持続可能なこと。そして創造的であることだ。どうだろう。日本のみなさんは共鳴できるだろうか。(リリス・イラワティ)

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