コロナ禍のレバラン タクビラン、礼拝は家で
インドネシアでは24、25両日、レバラン(断食月明け大祭)を迎えた。今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、休暇期間が12連休から5連休に短縮された。また、政府はラマダン(断食月)終了を祝う「タクビラン」や、レバラン初日の礼拝などを自宅で行うよう呼び掛けたこともあり、例年の様な「祝祭ムード」は影を潜めた。
レバラン前日の23日夜、政府の方針に従い多くの国民が屋外でのタクビランを自粛したが、ジャカルタ特別州内の各地ではラマダン終了を祝う花火が打ち上げられた。
中央ジャカルタ・マスマンシュール通り周辺では、例年に比べると小規模ながら、近隣住民が路上やカンプン(集落)内で大太鼓「ブドゥック」を叩いたり、打ち上げ花火を上げるなど、深夜までにぎわいが続いた。
マスマンシュール通り沿いのあるカンプンでは、入り口の門を閉じ、住民のみでタクビランを行った。住民のアンディさん(25)は「子どもたちが楽しみにしているので、カンプンの中だけで行うことにした」と話す。ナンダさん(43)は、「今年はいつもに比べると寂しいが、ラマダンを乗り越えた喜びを、皆で分かち合うの気持ちが大切」と笑顔を見せた。
ただ、レバラン初日の大規模な集団礼拝が行われるイスティクラルモスク(中央ジャカルタ)やスンダ・クラパ港(北ジャカルタ)は、礼拝が行われなかった。これに対して西ジャワ州ブカシ市では、ソーシャル・ディスタンシングや礼拝前の検温を行った上で、市内800カ所のモスクで集団礼拝に踏み切ったという。
政府やイスラム指導者評議会(MUI)は、ラマダン最終日の夜に行われる伝統行事「タクビラン」とレバラン初日の朝に行われる礼拝は、密集状態による集団感染を引き起こすおそれがあるとして、屋外ではなく自宅で行うよう呼びかけていた。
また、レバラン休暇を12連休(5月21日~6月1日)から5連休(5月21日~25日)に短縮したほか、ジャボデタベック(首都圏)外への移動を許可制にするなど、休暇中の帰省を抑制し、新型コロナの地方への波及を防ぐべく対策を進めてきた。(高地伸幸、写真も)