バンダとお別れ にわか雨とともに

 火山島には崩壊寸前の要塞(ようさい)跡が二つもあるということを、「ビジット・バンダネイラ(Visit Bandaneira)」という観光情報サイトで知った。カロンボ要塞(Benteng Calombo)とデポット要塞(Benteng De Pot)である。有事の際にロンタール海域から避難するための砦(とりで)であり、敵の艦隊に警告を発するという役目を持った砦であったようだ。
 この火山島の海底には、1945年にアメリカ軍により撃沈された日本軍の輸送船が沈んでおり、スキューバ・ダイバーが好む「沈船ダイブ」と、海中に流れ込んだ溶岩を楽しむ格好のスポットになっているようだ。明日はいよいよバンダを去りアンボンに戻る日だ。
 バンダ諸島を去るに当たって、この海の美しさを忘れないようフェルナンドさんからもらったドローンからの写真を掲げておきたい。
≪10月22日バンダを去る≫
 バンダの島々ともお別れだ。午前9時発のアンボン行フェリーに乗り込む。後ろに火山島の裾野が見える。
 港を離れると、急に濃い灰色の雲が漂い、にわか雨が降り始めた。激しい別れの涙かと思う間もなく、あっという間に雨は止み、入道雲が現れた。また来ることもないであろうバンダの島々が後方に逃げていく。愛惜の念を感じながら別れを告げているうちに、すぐに遠景になってしまった。
 フェリーの前方にはバンダ海の魚を氷詰めした発泡スチロールの箱が並んでいた。アンボンの魚市場に出すのであろう。若者3人が運んでいた。
≪アンボン島に戻る≫
 往路と同じく、今日も穏やかな海。午後3時過ぎにアンボンの港に到着した。港からホテルへ向かう途中、元気に遊ぶアンボンっ子がたくましい。バンダ諸島からアンボンに戻り、ここで2日間ばかりのんびりすることにした。アンボンについては2016年の訪問時の紀行記で取り上げているので、ここではその時に見られなかった所を中心に写真に残しておきたい。
 アンボンではサゴヤシ(Sagu)からデンプンを採取する現場を見学することができた。サゴヤシはマルク地方やパプアニューギニアが原産と言われており、今ではインドネシア、マレーシア、オセアニアの低湿地に自生している。一部の地域では、サゴヤシから取るデンプンは米の代わりになる補完的な食べ物となっている。加工の工程を簡単に示すと、(1)樹幹に詰まっている木髄部を取り出し(2)それをたたいて細かくし(3)水をかけながらもんで、でんぷん質を取り出す。それを乾燥して保存する。食べる時には加熱してパン状の食品とする。偶然にも道すがら、この古くから変わらないであろう素朴な工程を見学できたのは、貴重な経験であった。(「インドネシア香料諸島(続)バンダ諸島」=宮崎衛夫著=より)

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