出前生活に充実感 商品に工夫、コンビニも 夜間外出に恐怖

 3月下旬、午後11時ごろに仕事が終わり、夜食を買いに行った時のことだ。オフィスがある中央ジャカルタのビルの裏にあるカンプン(集落)で突然、棒を持った男性に声をかけられた。「お前、このカンプンに入ったのか?」。カンプンの前の道路を通っただけだと説明したが、聞く耳を持ってくれない。「ちょっとこっちきて(名簿に)名前書け。パスポートも見せろ」。恐怖を感じたので走って逃げた。
 男は後方で「ウォイ!」「ウォイ!」と声を上げている。なんとか自宅まで逃げ切れた。だが新型コロナウイルスの感染拡大で街に緊張感が漂っている中、夜に出歩いたのはうかつだったと反省した。それ以来、夜食はデリバリーにすることにした。
 配車、出前サービスなどを手掛ける「ゴジェック」と「グラブ」のアプリを主に利用している。よく利用するようになってから驚いたのは、その品揃えだ。料理の豊富さもさることながら、ファミリーマートやローソンなどコンビニが登録されており、飲み物やおにぎり、スナック菓子も持ってきてもらえる。さらにケーキなどスイーツ類、おしゃれな飲み物も豊富にそろえている。
 配達用の工夫にもうれしい。ローソンのおでんを頼むと、スープがビニールに入れられ、道中でこぼれないようになっている。また、吉野屋の牛丼は肉とご飯が分けられており、べちゃべちゃになっていることはない。牛丼は普段から持ち帰りの場合もこの形式だったと記憶しているが、この状況下でよく利用していると、有難く思える。CoCo壱番屋のカレーもルーが袋に入れられて来た。
 紹介しきれないが、他店でも同様に、提供者側が工夫を重ねているようだ。またゴジェックやグラブだけでなく、日本人CEO(最高経営責任者)が率いる「クリック・イート・インドネシア」の出前サイトでも日本料理の弁当を注文できる。とりあえず、当面の食事に苦労することはなさそうだ。
 冒頭の話に戻るが、後日聞き込みをしたところ、このカンプンには自主的に住民以外の立ち入りを制限するグループがあり、男性は見張りをしていたのだという。コロナに対する恐怖からくる、自分たちを守るための行動を非難することはできない。棒は置いてほしかったが。付近にも同様に、自主的に立ち入りを禁止しているカンプンがいくつかある。
 食事の面では、深夜にファストフードを調達していたこれまでより、外食サービスを頼んでいる現在の方が、充実し、健康的だとも言えるだろう。ポジティブに考えられるうちにこの生活が終わり、大手を振って出歩ける日がくることを望んでいる。(大野航太郎、写真も)

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