「都市封鎖」地方に連鎖 市民からは疑問の声 中部ジャワ州トゥガル市など

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が、都市の封鎖(ロックダウン)の決定権が中央政府にあるとの見解を示す一方、独自に入境制限などを課す地方自治体が相次いでいる。
 中部ジャワ州トゥガル市では30日から4カ月間、市内に出入り可能な道路約50カ所をコンクリート製ブロックで封鎖した。市内に入るには、市境のうち1カ所に設けられた検問所か国鉄トゥガル駅で、保健当局による健康チェックを受ける必要がある。健康チェックでは検温のほか、感染が拡大した国への渡航歴などが確認されるという。
 同市では24日、アラブ首長国連邦のドバイから帰国し、ジャカルタ経由で市内に戻った男性(34)の感染が確認されていた。同市のムハンマド・ジュマディ副市長は、本紙の電話インタビューに対し「スカルノハッタ国際空港やジャカルタ特別州政府が男性の感染を未然に発見することが出来なかったため、自分たちでチェックを実施することにした」と説明した。
 ロックダウンの決定権が中央政府にあるとする政府の見解については、「(同市が実施するのは)感染が疑われる人に限って出入りを制限する部分的なロックダウンであり、市民の出入りや外出を全面的に禁止するものではない」と話し、地方政府に決定する権利があるとの考えを示した。
 同市で飲食店を経営するエフィンさん(28)は本紙の取材に対し、市内に入る全ての人に健康チェックを実施する同市の方針について「本当に可能なのか」と疑問を呈する。また、ロックダウン期間中に飲食店が被る損失に関して「市から具体的な説明が一切ない」と憤りを隠せない。
 ジュマディ副市長によると、ロックダウン期間中の補償は市内に約1万4千人いるとされる貧困層らに対する「スンバコ(生活必需品)」の配布が中心となるという。
 政府の統計によると、中部ジャワ州では30日夕の時点で81人が感染し、7人が死亡している。
 地方都市のロックダウンをめぐっては30日までに、パプア州とマルク州が海路および空路による入境を禁止しているほか、中部ジャワ州ソロ市やアチェ州バンダアチェ市も部分的な封鎖を実施。ジョクジャカルタ特別州では、州外から来た人に対して14日間の自主隔離を要請している。
 一方、西ジャワ州ではタシクマラヤ県が31日から長距離バスの乗り入れ禁止を予定しているほか、同州デポック市も封鎖が検討されている。ジャカルタ特別州などの一部のカンプン(集落)で、住民がバリケードを築き、居住者以外の立ち入りを禁じているという報道もある。(高地伸幸)

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