アニス知事、首都封鎖要請 新型コロナ 大統領、指針作成へ
アニス・バスウェダン・ジャカルタ特別州知事は30日、同州の封鎖措置実施を中央政府に求めたと明らかにした。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は各地方政府に向け、大規模な行動制限を実施するためのガイドラインを作成する方針を示している。
アニス知事は州内で検疫体制を整備し、地域間の移動や外出を制限する必要があるとの考えを示している。封鎖した場合でも電力や食料の供給停止、金融機関の停止などは避けなければならないとし、「コミュニティへの物資配給も含め、あらゆるケースを想定している」と述べた。
ジョコウィ大統領は30日に会見を開き、各地域レベルで大規模な行動制限を実施するためのガイドラインを作成するよう、関係閣僚に指示したと明らかにした。状況が悪化した場合、実質的な都市封鎖を容認するとみられる。封鎖に関し慎重な姿勢を示してきたが、感染拡大を受けて対策を強化する構えだ。
ジョコウィ大統領は「(封鎖の決定は)中央政府に権限がある」との姿勢は崩さず、一部地方政府が既にとっている封鎖措置を牽制。「全ての大臣、中央、地方政府が同じビジョン、政策を持ち、社会、経済への影響を計算しなければならない」と述べた。
またレバラン(断食月明け大祭)帰省に関して、「(自粛が要請されているが)対策が十分ではない」との見方を示し、「感染拡大の連鎖を断ち切るため、断固とした措置をとらなければならない」とした。
帰省をめぐっては、アニス知事による「緊急対応」宣言以降、既に最大1万4千人が首都圏(ジャボデタベック)から地方に流出していると説明。ジャカルタに出稼ぎに来た非正規労働者の収入が、新型コロナウイルスの影響で大きく減少、地元に帰らざるを得ない状況になっていると指摘した。感染拡大防止の視点からも、非正規労働者を支援する必要があるとした。
新型コロナウイルスの国内感染者数は30日、1414人になった。死者数は122人。(大野航太郎)