バタビアから続く味 創業88年のアイスクリーム ラグサ・エス・イタリア

 バタビア時代から続く自家製アイスクリーム店の「Ragusa ES ITALIA(ラグサ・エス・イタリア)」。色とりどりのアイスは軽い食感で、なめらかに口の中で溶けていく。甘すぎず、濃すぎない。創業時のレシピを守り続ける逸品だ。

 この食感と味の秘密は原材料にある。オーナーであるシアス・マワルニさんの娘、イェニさんは「ミルク、砂糖、水を使って素材本来の味を引き出すようにしている。バターや食品添加物は一切使っていない」と話した。
 また、毎朝その日の分だけ作り、常に新鮮なアイスクリームを提供していると教えてくれた。
 店はジャカルタ特別州のジュアンダ駅から徒歩10分ほど歩いたフェテラン1通りに位置する。赤字と青字で大きく書かれた看板が目印だ。
 創業は1932年。オランダ植民地であったバタビア時代に、裁縫を学びにインドネシアへやって来た2人のイタリア人兄弟、ルイージ・ラグーサさんとヴィンチェンツォ・ラグーサさんが立ち上げた。彼らは保存料を使わないアイスクリーム作りに成功し、ガンビールの市場で販売を始め、1943年にこの地で店を開いた。その後、1972年に彼らは親戚関係であったインドネシア人のシアス夫妻にこの店を引き継ぎ、今まで続いてる。
 創業当時から現在までの記念写真が壁の至るところに飾られている。落ち着いた雰囲気の店内は、平日にも関わらず訪れる人が絶えない。
 メニューは定番のバニラ、イチゴ、モカ、チョコのアイスクリームやドリアンを使ったアイスクリーム、そしてフロートなど全15種類ある。アイスクリームは一つ1万5千ルピアから。
 バナナを丸々1本皿に乗せ、その上にアイスクリームを三つ乗せた「バナナ・スプリット」、バニラアイスをスパゲッティ状に押し出して作る「スパゲッティ・アイスクリーム」、3種のアイスを層にした「トゥッティー・フルーティ」が人気だそう。
 干して四角く切ったパパイヤやチョコソースは新たな食感を与えてくれ、アイスクリームの良いアクセントになっている。どれも1皿3万5千ルピアだ。ボリュームのあるアイスクリームが楽しめてこの値段はうれしい。
 土日は子どもから大人まで多くの人が訪れ、終日賑わっている。モナスを観光した後に、一休みするために訪れる人もいる。冷たくて優しい口どおりのアイスクリームとともに、インドネシアの歴史ある雰囲気を味わうのはいかがだろうか。(伊藤妃渚、写真も)

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