1866年以降最大規模 ジャカルタ豪雨 異常気象は長期化へ

 今年初め、ジャカルタ特別州一帯で多くの死傷者を出した豪雨は記憶に新しい。地元紙によると、気象庁(BMKG)はジャカルタ東部のハリム地域では1日当たりの降水量は377ミリに達し、観測が始まった1866年以降、最大規模になったと発表した。 

 豪雨は大晦日の夜から元旦にかけて降り続き、アニス・バスウェダン州知事は、ジャカルタの15%が豪雨による洪水の影響を受けたと危機感をあらわにした。首都ジャカルタでは60人を超える死者が確認されるなど、市民生活は混乱を極めた。
 しかし、年末年始の豪雨は瞬間的なものではなく、今後も波状的かつ長期的に続くと専門家は指摘する。
 国際環境NGO、グリーンピース・インドネシアは年明け6日の会見で、過去10年間の雨量データに基づき、降水サイクルの変化を指摘。今後は短時間に記録的雨量を記録する豪雨が増え続けるという見方を示した。
 また、短時間で記録的雨量を観測する降雨は、「気候危機の象徴的現象であることは科学的にも証明されている」と強調。その原因として深刻化する地球温暖化問題を挙げ、気温上昇が生む海面からの水蒸気の蒸発量が増えてこれが豪雨などの異常気象を誘発しており、政府は温室効果ガスの削減など行政主導の抜本対策に本腰を入れるよう警鐘を鳴らした。
 気候変動の要因のひとつに二酸化炭素があるとされるが、インドネシアの温室効果ガスの排出量は世界第3位。トップ2カ国の米中とは大きな開きがあるものの、世界最大の島嶼国家であるという地勢をみても、気候変動が豪雨のような異常気象に直結する環境にあるのは間違いなさそうだ。
 世界気象機関(WMO=本部・ジュネーブ)のペテリ・ターラス事務局長は、「今後は数十年にわたり、激しい異常気象に地球規模で直面すると予想される。温室効果ガスの濃度上昇は、異常気象をさらに深刻なものにするだろう」と警告している。
 首都機能の維持という観点からみても、頻発する豪雨や洪水災害への対策強化は待ったなしの対応を迫られている。
 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は首都移転計画を打ち上げたが、1千万人都市ジャカルタの災害に対する脆弱性は、すでに危険水域に達している。(伊藤妃渚)

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