モナス 「エッフェル塔に」 州政府 計画も工事中断
モナス(独立記念塔)を、フランスのエッフェル塔のように——。ジャカルタ特別州は1月、モナスのランドマークとしての存在感を高め、外国人観光客を集めようと、モナス広場の再開発工事に着手した。だが、内務省の下部機関は「工事が無許可で進められている」と指摘。緑地面積の削減に批判の声が上がり、工事は中断されている。
再開発工事は広場南部で行われる。樹木で囲まれていたエリアに広場を作り、南方の大通り側から見えやすくする計画だ。ジャカルタ特別州のサエフラ地方官房長は30日、地元メディアに対し、「(再開発で)外国人の旅行者がモナスがどこにあるかわかるようになる。ちょうどエッフェル塔のように」と話した。
再開発エリアは「プラザ・スラタン・モナス」と名付けられた。樹木を伐採し、コンクリートで地面を固めて作られる計画だった。だが緑地面積を定める規定に違反する疑いがあるとして、内務省の下部機関「メダンムルデカ地域開発運営委員会」が工事を差し止めた。インターネットでも樹木が伐採された再開発エリアの写真が拡散され、市民や環境団体から開発工事を批判する声も出ていた。
州議会(DPRD)で今後、工事の再開の是非について協議されるという。州政府側は「一刻も早い工事再開を望んでいる」としている。
モナスの正式名称は「モニュメン・ナショナル」で、1975年に完成した。高さ132メートルで、頂上には「独立の炎」のモニュメントがある。展望台があり、ジャカルタを一望できる。国内では宗教や政治に関わる集会が行われる場所としても知られている。
ジャカルタの観光地だが、航空関係者などからは「外国人を大勢集めるような場所ではない」との声が聞かれる現状がある。(大野航太郎、写真も)