国営企業 地に足つけた改革を

 2020年はインドネシア政局が安定化する中で、昨年鈍化した経済成長をどこまで実現できるかが注目点となる。ドル・ルピアの為替は安定しており、証券資金流入は続く。一方で、インフレ率は昨年より高まることが予想される。たばこへの大幅増税や電気代の上昇が呼び水となり、物価を押し上げるリスクがある。その状態で個人消費の堅調さを維持しつつ、輸出・投資を伸ばしていくことが必要なのは言うまでもない。
 第二期ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権は、従来推進してきたインフラ整備や税制改革などを前進させるために、関連した施策を打ち出していくことが予想される。
 中でも注目されるのが国営企業改革だ。14年のジョコウィ政権発足後、高速道路建設に当たったウィジャヤ・カルヤ(ウィカ)などの建設系、電力開発計画を進めたPLN(国営電力会社)などの国営企業の業務量は劇的に増えた。国営企業省幹部は「14年末時点には34社の有力国営企業が赤字だったが、売上増で多くの企業の経営は良くなっている」と話す。
 ただ、PLNや国営ガルーダ・インドネシア航空については、グローバル債も含めた借金に依存する体質を問題視する声もある。インフラ事業に参画する日系大手企業幹部は「国営企業は下請けや納入業者へのお金の支払いが悪く、こちらが財務処理に苦労することも多い。コストカットのために品質を顧みない企業もあり、継続的な参画は難しい」と嘆く。政権が求める事業拡大を実現するのが至上課題となり、資金ショートを起こしたり、結果として国民のためにならない欠陥工事につながったりしては本末転倒。地に足つけた仕事が、より求められる。

■大臣にエリック氏
 10月の内閣改造で、イタリアのサッカークラブ「インテル・ミラノ」会長を務めた資産家で、昨年の大統領選でジョコウィ氏の選対本部長を務めたエリック・トヒル氏が国営企業相に就いた。急ピッチで新ビジョンを示している。本業と関係ないホテルや病院の経営に精を出す国営企業が多い中、経営のスリム化を奨励。国営企業が子会社・孫会社を設立するのを制限する方針を明確化した。
 エリック氏は前任のリニ・スマルノ氏時代から行われてきた、有力国営企業のホールディングス化も推進する。国営石油・ガスプルタミナと国営ガスPGA、インドネシア・アサハン・アルミニウム(イナルム)と各鉱業会社などの統合に続き、国営銀行・金融系の会社統合の動きもある。国内金融の中で大きな存在感を示してきた国営銀行を軸にした持株会社を作り、他国に負けない資本力・体制構築を図る。
 国営企業改革を迅速に進めようとしいるが、ガバナンスの不透明性や不正などは依然として課題だ。政権との対立や不正関与への疑いなどが原因で、プルタミナやPLN、ガルーダ航空の社長は短命に終わるケースが続いている。トップのすげ替えが頻繁に行われては、改革のスピードがダウンすることもありうる。(平野慧)

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