瞬時に好感度、0.1%減で即対策 ジョコウィ選対サイバー部隊に迫る 岡本正明京大教授

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領の2期目当選を支えた選挙対策本部サイバー部隊とは——。京都大学東南アジア地域研究研究所の岡本正明教授(東南アジア政治)が25日、都内で開かれた京大のインドネシア研究を紹介する講座で、その素顔の一端を明かした。

 「(選対本部の関係者の)スマホを見ると、ジョコウィと対立候補のプラボウォ氏のポジティブ、ネガティブな情報が、SNS上などで何パーセントあるかが刻一刻と出ていた」と実態を語る。「0・1%でも変化すれば、人工知能(AI)の分析チームに原因を調べさせ、対策を考えていた」という。
 岡本教授はことし4月の大統領選挙の前後に、ジョコウィ選対に関係するサイバー部隊を見学した。
 「AIを使ってビッグデータを解析する組織は四つある。大きなビルに巨大なスクリーンがあり、データを表示していた。インドネシアのオンライン、新聞、テレビのすべてのニュースを集めていた」。ヘッドホンをして、ずっとテレビを確認するスタッフ、新聞記事を集めるスタッフら、多くの人員を動員している実態を目にした。
 岡本教授によると、選対は秒単位で「すべてデータ処理をして、人々のジョコウィ氏に対するポジティブな内容、ネガティブな内容のパーセンテージを分析していた」という。長期間、ニュースやSNSの情報を集め、AIで分析をしていた。
 精度の高い投票結果予想も実施。「一般的な世論調査は1千、2千のサンプルだが、ある組織はフェイスブックの200万のアカウントの情報をもとに、選挙結果を予想していた」とし、「4組織とも予想した内容は、実際の結果と1%ほどの違いだった」と紹介した。
 ジョコウィ氏が各地を遊説する際のキャンペーン内容も、データを基に練られていた。過去の選挙の各投票所のデータ、農作物などの主要市場の相場、各地の料理のレシピに至るまで、情報を総合し、「ジョコウィ氏がそれぞれの地域に行ったときに、何が有権者の心をとらえるかを推測していた」と話した。グーグルマップのデータも使い、ポスターの位置も決めていた。
 選対関係者のバンドン工科大学出身者は「インドネシアは村の数、ツイッターのユーザー数など、すべてが数で説明できる。数字を分析すれば、インドネシアがわかる」と話していたという。
 岡本教授は、選対のビッグデータ分析の前提に「(SNSでフォロワーの多い)インフルエンサーをリクルートして、言葉を語らせ、(アカウントの)ブザーが情報を拡散する選挙戦が広まった」ことがあると指摘。
 「フェイクニュースがたくさんあり、事実が複数化している。人の主観的判断で物事の事実が変わることが非常に顕著に出ている」と話した。有権者の関心が短期化し、「ある情報が流れると、およそ5日間でアクセスが少なくなる。両氏の陣営は、3日経つと、再び同じようなテーマをツイッターで流して人気を集めるようにしていた」と話した。
 プラボウォ陣営は「フェイクニュースを流し、リツイートをするというやり方のみで、うまくなかった。ジョコウィ陣営は14年まではプラボウォ陣営のやり方と同じことをしていたが、今回はビッグデータを使った情勢分析で新しい戦略をとった」と分析した。
 講座は、京都大学の海外でのフィールドワークを紹介する「京大アジア・アフリカ塾インドネシア集中講座」。計50人が参加した。

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