シラットを日本でも 写真展初開催  映画で知名度じわり

 インドネシアの伝統武術「プンチャック・シラット」が、日本で徐々に注目を集め始めている。日本プンチャック・シラット協会(東京都)によると、国内のシラット人口は約100人。1996年の協会発足当時に比べ、国際映画でシラットが紹介されたことなどを機に、認知度が増した。同協会のパンリプール派は11月中旬に都内で写真展を初開催し、発信に力を入れている。

 協会によると、プンチャック・シラットは、千年の歴史を持つ伝統武術で、インドネシアなどの各地域や民族で継承され、膨大な種類・流派があるという。17年にはユネスコ無形文化遺産に申請、18年のアジア大会では初めて正式種目として認められた。
 日本国内では、シラットはインドネシアの舞踊や武術の関係者らの間で浸透。一般に知名度を上げたのは、2011~12年に各国公開のシラットのアクション映画「ザ・レイド」と、その続編に当たる14年公開「ザ・レイド GOKUDO」だった。映画を機に協会への問い合わせも増え、国内の〝シラット人口〟は「100人くらい」(協会関係者)と見積もられている。
 「インドネシアの国民の気質が表れているよう」。協会の初期メンバーの浅見明子さん(44)は魅力を語る。
 大学の第2外国語でインドネシア語を専攻。約1カ月、短期留学で来イし、シラットを体験した。留学してまもなく、在日インドネシア大使館の関係者から協会設立の話を受け、メンバーに加わった。以降、国際大会に9回出場。演武を得意とするパンリプール派の師範として協会で教えている。
 「音楽とリズム、格闘技が合わさり、(以前から)おはやしをやっていた自分の体に合っていた。武術なのに(前動作の)手の使い方などが美しい」と指先をそろえて、流れるような手つきで構えを見せる。「(シラットは)相手の攻撃は避け、争わない精神」。選手同士の交流も盛んで、「インドネシアの国民性を感じる」と話す。
 映画やユネスコ申請の機運を受け、協会同派は11月中旬、都内で、演武の様子を収めた写真展を初開催。世界大会演武部門優勝のチェチェップ・アリフ・ラフマン氏とアセップ・グルワワン氏が17年と19年に来日し指導に当たった際の、合間に見せた優しい表情の写真や、乱れぬ動作の映像を展示した。
 チェチェップ氏は「ザ・レイド GOKUDO」に出演、アセップ氏は、インドネシアが発起した、シラットのユネスコ無形文化遺産申請の中心人物だ。写真展には、映画を見たチェチェップファンも訪れていた。
 浅見さんは、日本とシラットの相性を「(農耕民族のように)腰を落として耕す動作が芸能に入っていると感じる」と話し、「まずはプンチャック・シラット」という名前を知ってほしい」と呼びかける。今後は、展示会だけでなく、演武を見せる企画をしていきたいという。
 同派は毎月第1、第3土曜に東京インドネシア共和国学校で教室を開いている。

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