アートで社会問題発信 イの若者文化に魅せられ ラボ・ヌサンタラ

 「若い世代が、今の問題をアートを使って表現し、非常に活気がある」。アート系イベントの企画をする「ラボ・ヌサンタラ」が、東京都新宿区の書店兼ギャラリー「イレギュラー・リズム・アサイラム(IRREGULAR RHYTHM ASYLUM)」を拠点に、社会問題を発信する、インドネシアの版画やグラフィックデザインの展示会を行っている。「自分たちで自分たちの文化をつくる」若者たちの行動に魅せられた、という。

■民主化とメッセージ
 代表の女性は関東在住の日本人女性。インドネシアに興味を持ったのは、10年以上前にマレーシアの展示会で、美術大学の学生グループ「タリン・パディ(Taring Padi)」の作品に出合ったこと。
 グループは、約20年前の民主化運動「レフォルマシ(改革)」の際に版画でバナーやポスターを作り、デモに使用した。当時の学生たちは、ヒップホップなど、音楽も通じて、政治や社会へのメッセージを届けていた。パンクバンド「マージナル」が、アートで社会に切り込む存在として世界的に著名だ。インドネシアの影響を受け、マレーシアの一部地域でも2013年ごろから同様の活動が広まった。
 代表は15年からインドネシアに行くようになった。たびたび訪れたバンドンは学生の多い街。「(かつての学生の動きに)今の20代が影響を受け、社会問題をアートを使って表現している」と感じた。
 「友人たちに紹介したい」と、同ギャラリーで展示会を開始。17年にセメント工場の建設に反対する農民を支援する作品やポスター、18年はバリ島のブノア湾の埋め立てへの反対を表現したグラフィックデザインや版画を紹介する展示会を企画した。
 ことし11月上旬は、バンドンのアーティスト10人を招いた展示会「マンプラン(MAMPRANG)」を開いた。アーティストは、個々にインディーズのバンド活動もする。主にペン画でパンクな絵を描き、インドネシア国外の若いファンにインスタグラムなどで人気を集める。海外のバンドを通じて、CDのジャケットもデザインする。

■ローカルエコノミー
 代表は、これらの若者たちの「ローカルエコノミー」に興味を持った。バンドンでは学生たちがスポンサーに頼らず、自らが音楽イベントを開催。バンドはレーベルに依存せずにインディーズで活動し、個々の作家のつながりで商品をつくる。オンラインで作家が店を持つ動きもあり、「国に誘導されず、大資本にしばられず、自分たちで文化をつくり、ローカル経済をつくっている」と、代表は独特な経済圏に関心を寄せる。
 ラボ・ヌサンタラは今後も企画をしていく。「すてきな作家をシリーズで紹介し、クラフトやコラージュ、女性アーティストなど、たくさんの分野の紹介をしていきたい」と、代表は話している。

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