元患者に寄り添う日本人 高島雄太さん ハンセン病「回復村」

 2018年のハンセン病の新規患者数が約1万7千人と、20年間ほぼ横ばいのインドネシア。保健省によると、完治する病となった今も、新規患者数が減らない原因の一つは、感染を自覚していても、病院に行かない人が多いことだという。自分や家族、子ども、孫の世代まで就職や結婚で差別され続けてしまうとの恐れが根強いことが影響している。元患者やその家族に寄り添い、日イの大学生らとともに、問題解決のための活動を行っている日本人がいる。

 バンテン州タンゲランの会社員高島雄太さん(30)だ。主な活動の一つは、学生らと2週間ほど元患者や家族が暮らす「回復村」に住み込み、村人との交流やインフラ整備を行う「ワークキャンプ」だ。
 大阪大学インドネシア語学科に在学中、中国の回復村でワークキャンプを行う団体に所属し活動していたが、インドネシアでワークキャンプ活動を開始するために1年間、大学を休学し、タンゲランの回復村に住み込み、ともに活動を行うインドネシア人学生を集めた。卒業後も活動を続けている。
 ことし8月には中部ジャワ州ジュパラ県ドノロジョ、東ジャワ州トゥバン県ナンガット、同州モジョクルト県スンブルグラガの三つの回復村で活動を行った。
 一対一の交流をする。学生らが元患者らの変形した手を握り、元患者らが作ったご飯を一緒に食べる。初めは突然訪れた学生らを信用せず、何も話さなかった元患者も、徐々に打ち解けていく。学生が彼らに会うために日本から来たと伝えると、とても喜ぶという。
 インドネシア大大学院で公衆衛生学を学ぶナディラ・ベラディナさん(23)は、2014年にワークキャンプに初参加し、ことし8月にはモジョクルトの高校で啓発活動を行った。
 「差別を受けた体験を話すときは悲しそうな人も、一緒に過ごすうちに笑顔を見せてくれる」と話す。
 活動は周囲にも影響を与える。高島さんは「いくら言葉で説明しても、元患者を怖いと感じる人はいる。学生らが元患者と楽しく過ごしているところを実際に見てもらうことで、人々の意識が少しずつ変わっていく」と話す。学生らの活動を見て、回復村に住む若者らが、高齢の元患者を手助けするようになったという。
 ワークキャンプの後には、活動の写真や感想文の展示会を行う。学生らは、元患者一人一人を名前で呼び、思い出を話す。
 インドネシア人の参加者は当初、インドネシア大の学生が中心だったが、現在では中部ジャワ州スマランや東ジャワ州スラバヤなどからの参加者も増えている。今後、ワークキャンプを開催する村を増やすという。
 25~27日には、インドネシア大の図書館で活動報告会を予定している。(小山倫)

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