【スラマット・ダタン】 「親日の輪、広げる」 野村昇・駐スラバヤ総領事

 今年4月、駐スラバヤ総領事に野村昇さん(59)が着任した。スハルト政権の初期にインドネシアで学び、以降、インドネシアの駐在が計8回と、外務省きってのインドネシア通。変わりゆく群島に温かいまなざしを送ってきた野村さんは「総領事館から『親日』の輪を広げていきたい」と抱負を語った。
 
 野村さんとインドネシアの付き合いは1歳から。外交官の父親とともに3歳までジャカルタで生活した。1972年の埼玉県立浦和高校を卒業後、奨学金を受けてインドネシア大に入学し、卒業後の78年から日本大使館に勤務。入省から34年のうち、本省勤務は9年のみという筋金入りの外交官だ。
 スラバヤだけで3回目の駐在。ジャカルタに3回、デンパサールに1回、マカッサルに1回駐在し、インドネシアを、中央と地方の双方から見つめてきた。
 99年には東ティモールの独立をめぐる騒乱を経験した。当時、野村さんは在オランダ大使館の書記官。経験を買われ、住民投票を支援する国連東ティモール派遣団に政務官として派遣され、危険な状況の中で任務を果たした。
 東ジャワでも経済成長の兆しが見えつつある。野村さんは「日本人学校の児童・生徒が過去最多の72人に増えた。東ジャワの経済が成長し、在留邦人が増加しているしるしだ」と指摘する。
 東ジャワ州モジョクルト県のヌゴロ工業団地では、日系2社による大規模工場の建設計画が進む。ユニチャームは第3工場を6月に着工し、13年末に竣工する予定。ヤクルトは第2工場を9月に着工し、来年12月に生産を開始する予定だ。
 物流上のネックも解消されつつある。日系企業数社が入居するピエール(PIER)工業団地のあるパスルアン県とスラバヤ市をつなぐ幹線道路はシドアルジョの泥噴出により遮断されたが、3月に迂回路の幹線道路が開通している。

■邦人の中に入る
 「まず在留邦人をいかに守るか、いかに同じ目線に立つか考えている。個々人の生命、個々の企業を守っていきたい」と野村さん。4月の就任以来、食事会やゴルフなどを通じて懇親を深めたり、日系企業をめぐって情報交換を進めたりしている真っ最中だ。
 毎年恒例の「スラバヤよさこい祭り」は今年7月で10回目を数えた。今年はスラバヤ市と姉妹都市の岡崎誠也・高知市長が訪れている。「元日本留学生と協力すること、費用対効果の高い『草の根・人間の安全保障無償資金協力』にも力を入れる」。異動のない総領事館のインドネシア人スタッフを育てることにも注力する方針だ。

◇野村昇(のむら・のぼる)
 1952年生まれ。インドネシア大社会政治学部卒。2003年4月からスラバヤ総領事館デンパサール駐在官事務所長。06年1月から9月まで駐デンパサール総領事代理。09年9月からマカッサル出張駐在官事務所長。12年4月から駐スラバヤ総領事。

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