期待と批判、入り交じる ゴジェック創業者入閣 街の2輪運転手たち

 オンライン配車・配送大手ゴジェックの創業者、ナディム・マカリム氏が第2期ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権に入閣する。同社サービスの現場で働く2輪運転手たちは、称賛や期待、批判など、さまざまな姿勢で報道を受け止めた。22日、街で出会った運転手たちの、同氏入閣に対する思いを聞いた。       

 「素晴らしいことだ」。中央ジャカルタ・サリナー・デパートで、宅配業務にあたっていたミスランさん(48)は即答した。「若い優秀な人材がこの国を引っ張っていくべき。(ナディム氏は)うってつけ」。
 ミスランさんは約16年間、運転手として働いたタクシー大手エクスプレスを解雇され、9カ月前からゴジェック運転手として働いているという。「たくさん働けばより多く賃金がもらえるシステム。やる気が出る」。9月の給与は月400~500万ルピアほどで、エクスプレス在職時より向上したという。
 中央ジャカルタのモール「グランド・インドネシア」周辺にいたオペン・スペンディさん(32)は「ゴジェックのサービスは人々の生活を変えた。閣僚としてもその辣腕を振るってほしい」と期待。今後の会社経営に不安はないか聞くと「すでに大きい会社だ。大丈夫だろう」と話した。
 一方、大量高速鉄道(MRT)のスティアブディ・アストラ駅周辺で客を待っていた、2輪運転手歴3年のフェブリコ・アブディトラさん(29)は、最高経営責任者(CEO)を突然辞し、閣僚に回ろうとする姿に不信感を抱く。「彼は権力を求めている。俺たち運転手を捨てたんだ」。
 また、2輪運転手たちによる労働連合は、「多大な利益を出しているのに、運転手たちの福利厚生を改善していない」と同氏を批判。入閣は不適当として、撤回するようジョコウィ大統領に求めている。
 ナディム氏は21日、ジョコウィ大統領と中央ジャカルタのイスタナ(大統領宮殿)で会談。2期目の政権で閣僚に就任することを明らかにした。ナディム氏がどの閣僚に就任するかは不明だ。(大野航太郎、写真も)

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