移住民ら1万1000人が避難 パプア山間部から 先住民デモ激化後

 9月23日に先住民による差別反対デモが激化、放火などが相次いだインドネシア・パプア州山間部のワメナから、移住民らの脱出が続いている。社会省当局者によると、2日までに国軍輸送機や民間機で計1万1646人が、海岸部の州都ジャヤプラなどへ避難した。地元メディアが報じた。

 パプア地方の独立を求める先住民勢力と、独立要求の言論やデモ自体を容認しない中央政府の対立は、先住民と、地方外からの移住者との、暴力応酬に発展する危険性をはらんでいる。
 ワメナは3日時点で、平静を取り戻していると伝えられているが、市内の国軍や警察、行政施設、教会などには、なお約4800人の避難民が収容されており、海岸部などへの脱出者がさらに増える恐れもある。
 ワメナでは9月23日に、教師による先住民差別発言があったとして抗議する高校生らのデモが激化、ジャヤウィジャヤ県庁や住宅、商店など多数が放火で炎上した。鎮圧を図る治安部隊が発砲を繰り返した。騒乱の中で、逃げ遅れた移住民や、発砲を受けた先住民の若者らを含む計32人が死亡、67人が負傷したとされる。
 パプア地方へは、スハルト政権下で、ジャワ島やスラウェシ島などからの移住政策「トランスミグラシ」が行われたほか、近年も多数の出稼ぎ者が流入している。このため、先住民は同地方内の人口比率で半分程度に低下しているとも推定され、市街地などでは少数派に転落している。
 先住民と移住民は普段共存しているが、緊張関係が衝突に発展するケースもあり、インドネシア民主化が始まった時期の2000年10月にも、ワメナで独立派の「明けの明星」旗掲揚をめぐり、独立派自警団と警官隊・移住民が衝突し、数十人が死亡した。
 今年8月以降にジャヤプラ周辺で起きた先住民デモの際も、移住民で構成する自警団との衝突があったとの情報がある。(米元文秋)

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