残るがれき、いびつな地面 中部スラウェシ震災1年
2千人を超える死者を出した中部スラウェシ地震・津波から、28日で1年を迎える。家が流されるほどの大規模な液状化が発生したパル市ペトポでは、現在もいびつな地面に住居のがれきが転がっていた。
被災地は、住宅地があったスハルト通りの周辺で、横幅約2キロメートルに及ぶ。通りだった場所を歩くと、砕けながら土に混ざった道路のアスファルトや傾いた家があちこちに見られた。
元住民のナイムさん(36)は、震災で親族4人を失った。「私の家は数十メートル流された」と、丘の上の遠方を指差す。現在は市の支援で近隣に建てられた住居で暮らすが、被災前の生活が忘れられず、今も家があった場所を見にくるのだという。「この1年間、復興に向けた大きな変化は感じられない」。跡地を見つめながら、「もうここには戻ってこられないのか」とため息をついた。
液状化跡地に住み続ける住民もいる。元自営業のアナハルさん(44)は跡地に残ったあばら家に住みながら、がれきの山から鉄材を探し、1キロ3千ルピアで業者に販売して日銭を稼いでいる。被災で財産は失われたが、小学生と中学生の子どものため「少しでも稼がないと」と笑った。
(大野航太郎、写真も)