国会前で学生衝突 刑法改正は延期

 国会は24日、刑法改正法案と刑事収容施設法案の採決を延期すると発表した。今月末に任期を終える現国会は、駆け込みで重要法案の成立を進めているが、識者らは議論不足と批判。学生らによる抗議デモは全国各地に拡大し、同日夕、中央ジャカルタ区スナヤンの国会議事堂前の高速道路や大通りは全面封鎖された。

 バンバン・スサティヨ国会議長は同日、各会派や政府の代表者と協議した結果、刑法と刑事収容施設法の法案可決を延期すると発表した。特に刑法改正案については、国民に内容を周知する必要性を強調した。一方、国土法や鉱物エネルギー法は、まだ採決の段階に至っていないとした。
 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は23日、イスタナ(大統領宮殿)で国会幹部と協議し、一部条項でさらに議論が必要として刑法と刑事収容施設法の採決延期を要請していた。
 先に可決された改正汚職撲滅法に続き、厳しい批判の矛先が向けられたのは刑法の改正案。問題視された条項には表現の自由や日常生活、ビジネスなど、多岐にわたる分野を規制する罰則を定めたものが多い。特に、正副大統領や政府機関に対する侮辱への罰則強化▽不貞行為や配偶者以外との同居の禁止▽人工中絶手術の禁止▽女性の夜間外出規制▽企業犯罪への罰則強化——などに非難が集中した。
 現行の刑法は、オランダ植民地時代の1918年に制定され、オランダの負の遺産と批判されてきた。刑法改正案をまとめた法学者のムラディ元法相・国家官房長官は地元メディアに対し、「植民地時代の影響を排除し、インドネシアの文化を反映させた独自の刑法が必要だとの認識があった」と説明。改正審議は60年代以降、断続的に進められてきたが、イスラム法を反映させた条項案などをめぐり議論が紛糾。憲法裁判所を舞台に、現行法の違憲審査も繰り返し行われてきた。
 一方、採決が延期された刑事収容施設法案は、施行された場合、汚職やテロ、麻薬などの重大犯罪で収監されている受刑者への恩赦を制限した法律(2012年制定)が無効になり、刑期軽減が容易になるとの批判が出ていた。
 24日は、首都圏や西ジャワ州、バンテン州など各地から集まった学生団体がスナヤンの国会前に集結。高速道やガトットスブロト通り上下線を封鎖した。午後4時すぎには、警察機動隊が水や催涙ガスを浴びせて強制排除を開始。デモ隊の一部が暴徒化し、タイヤや横断幕、高速道料金所、警察詰め所などに火を付け、周辺の交通はまひした。(蓜島克彦)

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