ハビビ氏 英雄墓地に埋葬 「未来への展望」 国民を鼓舞
11日に83歳で死去したインドネシア第3代大統領、バハルディン・ユスフ・ハビビ氏の国葬が12日、南ジャカルタのカリバタ英雄墓地で行われた。同英雄墓地に埋葬される元大統領はハビビ氏が初めて。葬儀委員長を務めたジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は「未来への展望を持ち、国民にインスピレーションを与え続けた」とたたえた。
南ジャカルタのパトラクニンガンにあるハビビ氏の自宅に安置されていた棺は12日朝、カリバタ英雄墓地に運ばれた。紅白の国旗メラプティに覆われた棺は儀仗兵に担がれ、2010年に亡くなったアイヌン・ハビビ夫人の隣に埋葬された。
ジョコウィ大統領は弔辞で、「ハビビ氏はインドネシアの100年先まで見据え、戦略的産業を生んだ」と指摘し、インドネシア独立50周年の1995年に国産旅客機ガトットカチャ(N250)の初飛行を成功させたことをたたえた。
また「ハビビ氏は私たちに自信を持つこと、子どもたちに学ぶことについてインスピレーションを与え続けた」「インドネシアが他の大国と同等になれるよう鼓舞してきた」と述べ、ハビビ氏が民主主義の礎を築き、現在私たちがその成果をおう歌していると話した。
葬儀には、ユスフ・カラ副大統領や閣僚のほか、メガワティ第5代大統領、ユドヨノ第6代大統領、アブドゥルラフマン・ワヒド(通称グスドゥル)第4代大統領の次女イエニー氏、アニス・バスウェダン・ジャカルタ特別州知事、ジムリー・アシディキ初代憲法裁判所長官らが出席。ハビビ氏の長男イルハム・アクバル・ハビビ氏が遺族を代表してあいさつした。
元大統領の国葬は近年、2008年1月のスハルト第2代大統領(86歳で死去)、09年12月のグスドゥル第4代大統領(69歳で死去)以来で、カリバタ英雄墓地に埋葬される元大統領はハビビ氏が初めて。スカルノ初代大統領は東ジャワ州ブリタル、スハルト氏は中部ジャワ州ソロ近郊、グスドゥル氏は東ジャワ州ジョンバンの墓地にそれぞれ埋葬されている。
ハビビ氏の葬儀の様子は地元メディアが生中継した。1998~99年、スハルト長期独裁政権崩壊から民主化時代へと移行した激動期をともにした政治家らが、当時を振り返る談話を次々に出した。
当時国軍司令官として、スハルト氏の辞任発表直後に「スハルト氏を守る」と公言する一方、ハビビ氏と組んで新政権を担ったウィラント政治・法務・治安調整相は「ハビビ氏は敵味方を区別する政治家というより、科学技術を追求する真のテクノクラートだった」と指摘。ハビビ政権当時、国家官房長官やゴルカル党首を務めたアクバル・タンジュン氏は「学生らのレフォルマシ(改革)の要求に真摯(しんし)に応えたのがハビビ氏だった」と振り返った。(蓜島克彦、8面に関連)