【売られた花嫁】(4) 偽造旅券は「24歳」 15歳で結婚、虐待、収容

 花嫁売買の被害は、婚姻年齢に満たない若者にも広がっている。
 西カリマンタン州ポンティアナック市出身のイダさん=仮名=(16)は13歳で中学を中退。ジャカルタのバイク用品店に出稼ぎしていた2018年5月ごろ、帰省先のポンティアナックで、母親の友人の女に「中国人との縁談」を持ちかけられた。「婚約すれば4千万ルピア(約32万円)がもらえるわよ」
 父親が病気で、家庭は経済的に苦しかった。華人のイダさんは客家語を話し、標準中国語も多少理解できた。「若く結婚したい気持ちもあったし、生活が良くなるなら」。15歳になったばかりで、結婚を決めた。
 ブローカーが手配したパスポートは顔写真こそイダさんだが名前も生年月日も違った。「24歳ということになっていた」
 相手は当時27歳の中国人。約束金の一部と婚約指輪を受け取り、赤いドレスを着て結婚写真も撮った。
 「この男性と知り合ってどれくらいなの?」。ジャカルタの中国大使館の面接で聞かれたが、上手く返せず、通らなかった。「一度観光ビザで行って様子を見てこよう」。ブローカーに言われるがまま、7月、中国江西省へ向かった。
 ところが滞在1カ月が過ぎ、ビザの有効期限が切れても帰してもらえない。パスポートは夫に没収されていた。
 養鶏農家の夫は客前では良い人だが、2人きりになるとささいなことで暴力を振るった。「雪が降っていて、寒いから窓を閉めてと言っただけでサンダルを投げつけられ、しまいには首を絞められた」。生理中に性行為を強要されたこともあった。
 けんかになり「国に帰りたい」と言うと、夫は、イダさんが受け取った金の10倍にあたる2億5千万ルピア相当を払うよう求めた。「お前と結婚するのに金を使った」「1カ月待っても帰ると言うなら、お前を欲しいという中国人と交渉する」と言い放った。
 「転売される」。恐怖を感じたイダさんはインドネシア大使館に電話し、「観光ビザで6カ月滞在している。帰りたい」と話した。警察官12人が家に来て、不法残留で収容所に連れていかれた。
 収容所の同室は、ベトナム人9人とカンボジア人1人だった。中国語ができる人もいて、話せば、同じ花嫁売買の被害者だった。
 支援団体の助けを受けてことし3月下旬に帰国したイダさんは今、ムンパワ県内で飛行機のチケットなどを売る仕事をしている。化粧をした顔にはまだ、あどけなさが残る。13歳から学校に行っていないが、やりたいことがあるという。「勉強して卒業認定試験を受けたい。そして、良い仕事に就きたい」(木村綾、写真も、つづく)

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