パキスタン庶民の味 バクール・フードコーナー  2カ国夫婦が切り盛り

 中央ジャカルタのバックパッカー街、ジャクサ通りにある廃ビル。その1階に、パキスタン出身の店主アリ・レザイさん(49)と西スマトラ州パダン出身のデフィ・ユリアンダさん(37)が、夫婦で切り盛りするパキスタン料理店「バクール・フードコーナー」がある。「高級路線」のインドやパキスタン料理店ではお金を払っても食べられない、パキスタンの「庶民の味」が魅力だ。

 2、3人でシェアするなら、パキスタンの炊き込みご飯「チキンビリヤニ」(6万ルピア)がおすすめ。ビリヤニは香辛料とバスマティライスの香りが食欲をそそる。ライスの下に埋まったタンドリーチキンの身を、スプーンでほぐしながら取り分ける。見た目ほど油っぽくなく、香辛料も控えめだ。

 がっつり香辛料が効いた料理を楽しみたい人には、パキスタン北西部のペシャワール名物「チャプリカバブ」(4万ルピア)がもってこい。「チャプリ」は現地の言葉で草履を意味し、手のひら大に平たく伸ばしてあるのが特徴。羊肉特有の臭みも、同店で食べるとスパイスの一つの様に感じられる。

 約10種類あるカレーのなかで、記者のおすすめはナスを炒めた「ベンガン」(3万5千ルピア)。香辛料がしみ込んだギー(南アジアのバターオイル)を肉厚なナスがたっぷり吸い込み、食べ応えのある一品だ。

 食後のラッシー(1万5千ルピア)は砂糖味と塩味が選べるが、記者は断然、塩をすすめる。キレのあるヨーグルトの酸味と塩分が、口の中に広がった油と香辛料を流してくれる。

 アリさんは、パキスタン西部のクエッタ出身のハザラ人。イスラム教シーア派の少数派であるハザラ人を標的に頻発するテロに身の危険を感じ、2008年に来イ。家具などの輸出入で生計を立ててきた。「平和で人の優しいインドネシアが気に入り、そのまま居着いてしまった」と話す。

 仕入れ先の家具店の店員だったデフィさんと17年に結婚し、同店を開いた。デフィさんに料理を教えながら、長女のザフラさん(1)と「三人四脚」で店を切り盛りする。

 店は夕方ごろから、ジャカルタ在住のパキスタン人や近隣に勤める会社員で混み合う。「レストランを開くのが、昔から夢だったんだよ」。アリさんが笑顔を見せた。(高地伸幸、写真も)

◇Bakul Food Corner
住所 Jl. Jaksa No. 7D, RT. 1/ RW. 5, Kb. Sirih, Kec. Menteng, Jakarta Pusat
☎ 0823・1174・3632
営業 午前11時~午後10時

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