省庁・官民越え連携を コンパス紙がキャンペーン 首都の渋滞損失 年45兆ルピアに

 悪化が進み、相変わらず市民を悩ませ続けている首都の渋滞問題。ジャカルタ特別州運輸局によると、二〇一〇年の渋滞による損失額は推定で四十五兆二千億ルピア(約四千億円)に上り、過去最大となった。専門家の間では、歩道や自転車専用路の敷設や供給過多の公共バスの削減など、地道な政策を重要視する声も上がる。大手紙コンパスは二十三日の一面トップで「渋滞、変わらぬ惨劇」と見出しを掲げ、省庁や官民の枠を越えた連帯が必要と訴えた。

 損失額は、ガソリンの消費や車両維持費、時間の浪費、商業的損失、環境汚染などを考慮して算出した。
 車両数は年間平均で七%増加。バンテン州タンゲランや西ジャワ州ブカシなど郊外からの通勤者はここ十年弱で一・五倍に増加し、悪化に拍車が掛かっているが、解決への具体的な道筋は依然として不透明なままだ。
 インドネシア大学の交通専門家、エレン・タンクドゥン教授は短期間で効果が高い渋滞対策として、(1)歩道や自動車専用路の設置(2)路上駐車の禁止(3)公共バスの管理体制や路線の変更④抑止効果のある法律の制定―などを挙げた。

■それぞれの目的
 コンパス紙は「中央政府や州政府、民間がそれぞれの目的に向かって独自に動いている」と分析し、省庁や官民の枠を越えた協力や包括的な対策が必要だと強調。エレン教授は、土地利用を制限・管理する公共事業省と公共交通機関の設置・管理や許可交付などを取り仕切る運輸省の間で、連携した対策がほとんどとられていないと指摘した。
 運輸省によると、二〇一〇年における州内の二輪・四輪の車両台数は七百三十万台で、道路の総延長は六千五百四十九キロ。二〇一四年には二輪車・四輪車の道路占有面積が道路の総面積を超え、交通が完全にまひする「グリッド・ロック」状態になると言われているが、車両台数は増加の一途をたどっている。

■供給過多の公共バス
 記事では、供給過多の公共バスについても指摘した。陸上交通組合(オルガンダ)ジャカルタ支部のスディルマン支部長によると、ここ十年間の平均乗車率は約五〇%で車両数が需要量を大幅に超えた状態。「客を探すために頻繁に移動を繰り返し、運転も雑になってくる」と指摘した上で、「需要を無視して許可を出すのは簡単だ」と運輸省を揶揄(やゆ)した。
 二〇一〇年のデータによると、通勤者の二輪車利用率は〇二年比で二七・五%増加したのに対し、バスや列車など公共交通機関の利用率は同二八・四%減少した。エレン教授は「バス停や駅などの連携が悪く、面倒な乗り継ぎが必要な通勤客が利用したがらない」と指摘した。
 ジャカルタ中心部で働く二十代の会社員ダタ・ティティアンダさんは「郊外から通う人の多くは、三、四回乗り継いで職場に通っている。時間もお金も本当に無駄」と話した。

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