パプアで大規模抗議デモ サル呼ばわりに反発 マノクワリで州議会炎上

 インドネシア・パプア地方各地で19日、中央政府側による差別に抗議し、先住民が大規模なデモを行った。西パプア州の州都マノクワリでは警官隊と衝突、州議会の建物が放火で炎上した。デモは、東ジャワ州スラバヤで17日ごろにパプア出身者の学生寮を捜索した警官や、詰め掛けた民間人が、学生に「サル」などとの暴言を浴びせたとされる問題が発端。デモ参加者は「パプア、ムルデカ(独立)」との声を上げた。      

 大規模デモは、断続的に独立運動が続くパプア地方に潜在する、インドネシア支配への不満が表面化した格好となった。
 現地からの報道によると、パプア州の州都ジャヤプラと同国最東端のメラウケでは「ロングマーチ」と銘打って住民がデモ行進した。ジャヤプラでは大通りをバイクや徒歩の参加者数千人が埋めた。
 一方、マノクワリでは群衆と警官隊が衝突、投石と催涙ガス弾の応酬に発展。路上は催涙ガスの白煙に包まれた。放火されたとみられる西パプア州議会や車両、商店などが炎上、少なくとも警官3人が負傷した。
 また、同州ソロンも騒乱状態に陥った。刑務所が炎上したとの情報もある。コンパスTVは、棒などを持って空港に押し入った群衆や、赤黒い煙を上げて炎上する車両の様子を放映した。
 事態を受け、ウィラント政治・法務・治安調整相は、スラバヤでの出来事をめぐり、パプア住民の行動を引き起こすネガティブな言動があったとの認識を示した上で、「無責任な人々の情報にあおられたり、影響されたりしないように」とパプア住民に呼び掛けた。
 また、「政府は、治安の安定の維持を全面的に保障する」と強調した。

■差別にうんざり
 パプア出身者らでつくる「インドネシア・パプア中央山地学生協会」(AMPTPI)の大学生のアンブロスさん(23)=ジャカルタ特別州在住=は「これまでの平和的なデモの際も、(パプア出身者が)警察から『分離主義者』と侮辱され、人種差別をされてきた。『ゴリラ』『サル』『まだコテカを着けている人』『パプアに戻れ』と言われてきた。差別にうんざりしている」と話す。
 16、17日にスラバヤでも同様の差別的表現があり、「差別は軍や警察、警備隊からなる群衆から行われたはずだ。これはパプア人に対する国の態度を表面化させた」と指摘。インドネシア独立記念日の17日は「パプア人に対する差別に染められた」と主張した。
 パプアの学生らは18日に会見し「私たちは仕事や食べ物をジャワに探しにきたのではなく、ただ大学に来ただけだ。パプアに来る人は、私たちの土地で、仕事や食事を探しているが、私たちは彼らに人種差別をしていない」と憤った。「私たちがインドネシア人と共にあっても、決して人間として尊重されないだろう」と憂いた。
 会見では「過去1カ月間で、数百人のパプアの学生が、(北マルク州)テルナテ、(マルク州)アンボン、(東ジャワ州)マランなどで平和的なデモをしようとした際に治安部隊に拘束され、6人が重傷を負った」との声明を発表した。
 スラバヤの学生寮をめぐっては、一部の社会団体がワッツアップで国旗破損の写真が出回ったと主張、学生が疑いをかけられた。(米元文秋、木許はるみ)

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