サリナ警備員ら初公判 5月22日暴動 暴徒に水提供、ほう助罪
5月22日に中央ジャカルタの総選挙監督庁(バワスル)前で起きた暴動で、暴徒らに飲み水や顔を洗う水を提供したとして、暴動をほう助した罪で起訴されたサリナデパートの警備員ら29人の初公判が13日、中央ジャカルタ地裁で開かれた。弁護側は「人道的行為に過ぎない」とほう助罪を否認する構え。
地元メディアによると、29人はいずれもサリナデパートで働く警備員26人、技術者2人、清掃員1人。
起訴状によると、29人は、治安部隊との衝突で催涙ガスを噴射された暴徒たちをサリナデパートの地下に避難させ、顔を洗うための水やバケツ、飲料水を渡したとされる。
検察側は、暴動化したこの日のデモが警察の許可を得ていなかったことに触れ、29人は警察の命令に背き、故意に暴徒を手助けしたと指摘した。
これに対し、弁護側は「29人は喉が渇き、疲れ果てていたデモ参加者に飲み物を渡したにすぎない」と述べ、「人道的な行為だ」と主張している。
暴動は5月21日にプラボウォ氏敗北の大統領選結果が発表されたことを機に、プラボウォ氏の支持者の抗議デモに乗じて、総選挙監督庁前や中央ジャカルタ区タナアバン、プタンブラン、西ジャカルタ区スリピなどで発生。暴徒と衝突した治安部隊が催涙ガスを発砲するなどして鎮圧した。9人が死亡し、逮捕者は447人に上った。
■報酬5万ルピア
13日には、西ジャカルタでの暴動に関与したとして、暴行罪や器物損壊罪などに問われた計84人の初公判も、西ジャカルタ地裁で開かれた。
このうち、スリピ周辺でタイヤなどを燃やし、爆竹や石を投げたなどとされる11人の初公判では、検察側が、11人のうち3人が暴動を起こす見返りに5万ルピアの報酬を約束されていたと指摘した。(木村綾)