「多様性を最も反映」 賀集さんがバティック講座

 西ジャワ州チルボン県でバティック(ろうけつ染め)の工房「スタジオ・パチェ」を経営する賀集由美子さん(58)が21日、中央ジャカルタで講演し、バティックの楽しみ方を伝えた。「機会があれば、産地に行ってみてほしい。バティックが地方により違い、インドネシアの多様性を大きく反映している」と話した。一方で、職人不足を受け、「良いバティックを買うことが業界の存続に大切」と呼びかけた。  

 賀集さんは1999年に夫婦で同工房を開業した。西ジャワ州のインドラマユから東ジャワ州のマドゥラ島にかけては、漁業や貿易業にちなみ、魚や海藻、海岸模様の絵が描かれていることを紹介。ジョクジャカルタやソロの王宮由来のモチーフと庶民由来の柄があることを説明した。
 バティックの形には、さまざまあり、「ヘムプリア」は男性用のシャツになることを想定した生地。1枚の布に複数のパターンが掛かれ、それぞれを裁断、縫製すると1枚のシャツができる。また帯状のバティック「スレンダン」は、肩から掛けたり、腰に巻いたするほか、テーブルや椅子にかけたり、ボレロや袋、ブラウスにもなる。さまざまな用途があり、「バティックをしまっておかず、使ってほしい。置き方を変えて楽しんでほしい」と話した。
 手書きのバティックかプリント生地かどうかの見分け方は、「(生地の)表に比べ、裏が白っぽいのがプリント」とアドバイス。バティックの手入れは「残ろうがあるので、時々お湯(風呂湯程度の熱さ)に通して干してほしい。水洗いに強いが、日光に弱いので、陰干しをしてほしい」と話した。
 賀集さんは、職人の人出不足にも言及。同工房の職人はピーク時の30人から数人に減少した。以前は中卒者に声をかけて雇用していたが、「中学を卒業しても工場で働いたり、子どもが高校に行くようになったりし、就職先が増えている」と話す。「今の職人の兄弟は6~8人と多いが、今は子どもが2人という家庭も多く、少子化が進んでいる」という。子どもたちも、以前は家族を手伝ってバティックをつくり、ろうを描く「チャンティン」で遊んでいたが、現在は娯楽が増えた。口コミや待遇を改善し、人手を集めている。「良いバティックを見て、買ってサポートをしてほしい」と呼びかけた。
 講演会には日本人35人が参加。今後はチルボンのバティックツアーも企画する予定という。(木許はるみ、写真も)

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