【カラワン 工場近隣の村で】(下)生活の水、汚染深刻 川に流れ込む工場廃水

 再生紙工場が住民に及ぼす影響は、輸入ごみの売買だけでない。カラワン県とブカシ県の県境に位置するチベエット川は、地元住民にとっての貴重な水源だが、工場廃水による汚染が深刻化している。
 再生紙工場の隣村のワナクルタ村。夕方、子どもを中心に20人ほどが川で水浴びをしていた。水は一見透明だが、バケツにすくうと濁っているのがわかる。
 「水浴びから料理までこの川の水。汚かろうが、水源は他にないのよ」。主婦のヤニさん(25)はそう言って川で洗濯に取りかかる。傍らでは3歳と8歳の息子が水浴び。体のかゆみや皮膚病を訴える子どもが多いという。自身も子どものころ川で水浴びしていたというヤニさんは「昔はきれいだったんだけど」と肩をすくめた。
 水道が未整備で、自宅に川の水を引いて利用しているという住民も多い。ワナクルタ村役場に勤めるアエプ・サエプローさん(32)宅の浴室を見せてもらうと、おけの水は黄色く濁っていた。「臭いも気になるので、さすがに料理に使う水は購入している」と言う。
 アエプさんによると、同村では約600人がチベエット川の水を生活に利用。水質が悪化し始めたのは、現在の再生紙工場の前身にあたる製紙工場が稼働し始めた2007年ごろだという。
 「川にパルプが浮いている場所もある。汚染は製紙会社のせいに間違いない」。アエプさんらは11年以降デモを繰り返し、製紙会社や政府相手に改善を訴えてきた。だが「政府が稼働停止を命じても数カ月後には再開された。工場側が給水車で村に水を供給して回った時期もあったが2カ月で終わった」。「根本的な解決になっていない」と憤る。
 汚染源とされる製紙会社は取材に応じなかったが、カラワン県環境清掃局は住民の苦情に基づいて工場を監査し、5月にも稼働停止を命じたと説明した。7月現在、工場は再稼働しているが、同局の責任者は「制裁を受けてからは廃水を川に垂れ流していないはずだ」と話す。
 だがアエプさんの案内で工場裏のチベエット川支流をのぞくと、水は想像以上に黒く濁り、川底をすくうと真っ黒な堆積物が出てきた。
 カラワン県の環境活動家エリック・ラムダニさん(32)は「工場廃水に関する規制はあるが、取り締まりが弱いため長年改善されない」と訴える。適切な廃水処理を行わず、川へ垂れ流している工場の存在は各地で指摘されている。(木村綾、写真も、おわり)

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