サッカー女子リーグに難色 「女性限定の施設必要」 アチェでイスラム学者
イスラム法が施行されているインドネシア北西端のアチェ州で、イスラム学者が女子サッカーリーグの試合開催について、参加選手から観客まで女性限定で実施できる施設がなければ、ハラム(イスラムの教義に反する)との見解を示し、実現に暗雲が漂っている。内外メディアが報じた。
アチェ・イスラム学者協議会のトゥンク・ファイサル副議長はAFP通信に「私たちは女子サッカーに反対しているのでは全くない。しかし、施設が整っていなければ、女子サッカーはハラムと見なされる」と述べた。
協議会は、女性だけの選手、大会関係者、観客が収容できるスタジアムが州内に設置された場合にだけ、女子サッカーリーグの試合が許可されるとの立場。ファイサル副議長は「アチェの人たちから否定的な反応を受けないよう、女子リーグ開催は延期されるべきだ」と述べた。
女子サッカーではW杯フランス大会の決勝が7日に行われたばかり。サッカーが大人気のインドネシアでも国内女子リーグ結成の機運が高まっており、アチェ州内では州チームの選考には女性約30人が参加している。
インドネシアからの独立紛争が続いたアチェでは、2005年に中央政府と独立派武装組織「自由アチェ運動」(GAM)との間で結ばれた和平協定に基づき、GAMが独立要求の放棄と武装解除に応じる一方で、州の自治権が強化された。これに基づき、熱心なイスラム教徒の多い同州には、イスラム法に基づく条例制定が認められている。(米元文秋、写真も)