介護検定機関を開設 インドネシアで初の資格化 OSセルナジャヤ・国家資格庁

 人材紹介やビジネスサポート、教育言語事業を手掛けるOSセルナジャヤ・インドネシアは9日、国家資格庁(BNSP)が認定するインドネシア初の介護資格の検定機関「介護ライセンスセンター(KLC)」を開設した。これまでインドネシアでは看護の一環とされてきた介護が初めて資格化される。

 介護ライセンスセンターは東ジャカルタ区チパユンの研修センター内に設置された。研修センターで学ぶ訪日前の介護実習生は全員が資格取得対象となり、国家資格庁から権限を付与された介護ライセンスセンターが介護資格の認証、発行を行う。介護資格を取得すれば、外国人技能実習生制度で「外国政府による介護士認定等を受けた者」とある職歴要件を満たすことができるようになる。
 介護資格検定機関の開設に向け、OSセルナジャヤは、日本で介護福祉専門学校などを展開する敬心学園が日本の文部科学省から委託を受けて、インドネシア大学と共同で作成したカリキュラムやテキストを基にして、介護資格を国家資格庁に提案した。
 介護ライセンスセンターはこれを参考にしてテキストを制作。介護、福祉の基礎から介護者自身が腰などを痛めない方法、浴槽に入るにはまずお湯を使うなどの生活習慣の違いから理解してもらう項目などを網羅し、介護の基礎知識を身につけることができるよう工夫した。最短で3カ月ほどで資格を取得できるという。介護資格取得者は、これまで看護系学校卒業者に限定されていたが、介護実習生として日本で働くことができるようになる。
 OSセルナジャヤの宮島賢社長は「年末か年始までに100~200人を送り出したい」と抱負を語る。現在の資格は入門編のみだが、今後は技能別レベルの資格設立も提案していく考えだ。
 OSセルナジャヤは、世界28カ国で総合人材サービスを展開するアウトソーシング(本社・東京)のグループ会社。20年以上にわたりインドネシアで日系企業をサポートし、2014年から技能実習生の送り出し事業を始めた。
 17年、外国人技能実習生制度の対象職種に「介護」が追加されてからは介護実習生の送り出しも開始。18年9月には訪日前の介護実習生の研修センターを東ジャカルタに開校し、これまで55人を日本に送り出している。
 国家資格庁のクンジュン・マスハット長官は「インドネシアでは看護師の仕事の一部として介護が行われている。介護に関する知識は看護の勉強の一部にとどまり、介護として独立した資格はなかった」と述べ、介護資格はインドネシアにおける介護士の育成強化の一歩になると強調した。
 労働省のバンバン・サトリオ・レロノ職業訓練総局長は「インドネシアも今後、日本と同様に高齢化社会を迎える。介護の人材育成を進めるにあたり、日本から多くのことを学んできてほしい」と期待した。(上村夏美、写真も)

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