運賃は「ごみ」で支払い スロボヨバス 運行1年、市民に定着

 東ジャワ州スラバヤ市に、「ペットボトル5本」が運賃というユニークなバスが走っている。ペットボトルごみを停留所などに持ち込むことで乗車できる。環境先進都市として取り組む同市が、市民の環境意識向上を目指して昨年導入し、市民の足として定着している。            

 名称はスラバヤを意味するジャワ語から取って「スロボヨバス」。昨年4月に運行開始し、初年度の乗車人数は90万人だった。
 南北線と東西線の2路線があり、1階建て車両18台、2階建て車両2台の計20台が走っている。
 所定の停留所やバスターミナルにごみを持ち込み、シールが貼られた乗車券と交換する仕組み。1・5リットルのペットボトル3本か、600ミリのペットボトル5本、240ミリのミネラルウオーターのカップ10個で、乗車1回分になる。バス車内にも専用の回収箱があり、乗車時にごみを持参して「支払う」ことも可能だ。
 記者もプラバヤ・バスターミナルから南北線(20キロ)に乗り、1周してみた。乗車したのは土曜日の午前。約20分間隔で走っているというバスの乗客は、小さな子どもを連れた母親からお年寄りまで幅広く、40席がほぼ埋まる場面もあった。
 この日初めて乗ったという大学生のエルフィンさん(19)は、持参したペットボトルを乗務員に渡しながら「面白い仕組みだと思う。リスマ市長はすごい」と環境整備に力を入れる市長を評価した。
 年金を受け取りに行くというハルモニスさん(71)は「アンコット(乗り合いバス)は暑い。このバスはエアコンも効いているしきれいで快適よ」。足腰が悪く頻繁にこのバスを利用するそうで、乗車券の束を見せてくれた。ごみさえ持参すれば無料で乗車できるとあり、暇つぶしに乗って景色を楽しんでいるという高齢男性もいた。
 ごみを受け付けているラジャワリ停留所やプラバヤ・バスターミナルには、大きな袋に入ったペットボトルを持ち込む人たちが。バスターミナルの担当者によると、1日200人程がごみを持ち込むという。
 市公園清掃局出身のリスマ市長は「プラスチックごみの削減やリサイクル促進につながっている」と評価している。
■集めたごみを競売
 市公園清掃局によれば、昨年4月の運行開始からこれまでに集まったごみは約80トン。うち39トンを競売入札にかけ、グレシック県のプラスチック・リサイクル会社が1億5千万ルピアで落札した。残る41トンは倉庫に保管されたままで、今後競売にかける予定という。
 ただ、競売の収入だけでバスの運営費を賄うのは到底困難で、市は月1億ルピアの補助金を出している。スロボヨバスに関しては収益よりも環境面でのメリットを優先し、運行を継続する方針で、バスの台数を増やしたり乗車券を電子化したりする計画もあるという。(木村綾、写真も)

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