ホテルに被害なし  「暴徒は統制が取れている」 警備員

 22日未明から23日早朝にかけ、総選挙監督庁(バワスル)周辺から排除された暴徒の集結地点となった中央ジャカルタの繁華街、ワヒッドハシム通りやサバン通り。23日はデモも行われず、夕方にはブカプアサ(1日の断食明け)を控え、通り沿いには数多くの屋台が並んだ。警察機動隊との衝突が連日発生したにもかかわらず破壊されたホテルは一軒もなく、警備員からは「暴徒の標的は総選挙監督庁や警察のみ。統制が取れている」との声も聞かれる。

 ワヒッドハシム通りでは23日午前0時すぎ、機動隊に向け花火を打つなどしていた暴徒の一部が警察詰め所を襲撃、放火し、通り沿いに設置されている防犯カメラを壊すなどした。この際、警察詰め所に隣接するパダン料理レストラン「ガルーダ」も被害を受けた。
 同店のメンテナンス担当、アフマッドさん(38)は「煙が店内に充満したが、壊されたものは何もない。警察詰め所前の電線が焼けた影響で停電し、今日は休業したが、明日には工事も終わって営業再開できそう」と話す。
 通りに面した店舗前面はガラス張り。アフマッドさんは暴徒対策としてベニヤ板を貼り付ける作業を急いでいた。「うちは24時間営業で、ラマダン(断食月)中はブカプアサの書き入れ時。早朝に暴動があった22日も通常通り営業したが、深夜にかけて暴動が再発する可能性があると聞き、午後8時には閉店していた」と話す。
 サバン通りでは23日午後3時ごろになると、屋台が次々と並び始めた。総選挙監督庁、サリナデパート周辺で警備にあたる機動隊員や軍人もブカプアサに訪れる。
 近年中級ホテルが増えているワヒッドハシム通りでは、一部のホテルが鉄条網を設置し、警備を強化しているが、暴徒による被害は出ていない。安宿街ジャクサ通り近くのモリッシーホテルは23日、入り口に設置していた鉄条網を撤去。アシュリーホテルは何も設置していなかったが、「暴徒が狙っていたのは警察だけ。ホテルに花火が舞い込むこともなく、危険は感じなかった」(警備員)という。
 タムリン通りを挟み、タナアバン市場方面に向かうワヒッドハシム通りでも激しい衝突が早朝まで続いた。
 総選挙監督庁の裏側にあるホリデイイン・エクスプレスは高さ1メートルの鉄条網を設置。先月開業したばかりのアルトテルも23日午後になって鉄条網を取り付けた。
 コセンダホテルは鉄条網の代わりにホテルの車を入り口に置いた。物々しい印象を与えないよう宿泊客への配慮という。警備員のマウラナ・デワンタラさん(20)は「催涙ガスで目がくらんだ若者が投げた石が当たり、フロントガラスが割れたが、車は標的にされていない。ホテル前の道(ワヒッドハシム通り)が石で覆われ、水が枯れた川底みたいになったのに、ホテルは窓ガラス1枚も割れていない」と話す。
 連日早朝まで警備に当たり、疲れもたまってきた。「24日に暴動が再発するとの情報もあり、気は休めないが、暴徒の統制は取れているように感じる。彼らはやみくもに暴れているわけではないので、ホテルへの影響は心配していない」と語った。(蓜島克彦、写真も、8面に関連)

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