ジョコウィ11ポイント差で再選 プラボウォ憲法裁提訴へ 大統領選公式結果  

 総選挙委員会(KPU)は21日未明、大統領選の集計結果を公表した。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領(57)が得票率55・5%で、野党候補のプラボウォ・スビアント元陸軍戦略予備軍司令官(67)に11ポイント差で勝利した。4月17日の開票速報の9ポイントから差を広げた。不正選挙と主張してきたプラボウォ陣営は、5年前同様、憲法裁判所に提訴する見通しだが、敗北確定で求心力を失った野党連合は解体に向かいつつあり、イスラム保守勢力を軸にしたデモ動員の失速につながる可能性もある。 

 得票数はジョコウィ組が8560万7362票、プラボウォ組が6865万239票。有効投票数は1億5425万7601票だった。同時開催された国会議員選では連立与党が60%超を占め、現状は2期目の政権運営は安定化しそうだ。
 州別ではジョコウィ組が34州中21州を制した。「イスラム対策」で起用された副大統領候補、国内最大のイスラム団体ナフダトゥール・ウラマ(NU)のマアルフ・アミン前総裁の地盤、東ジャワ州で66%(前回53%)、ジョコウィ氏の地元・中部ジャワ州で77%(同67%)と2州だけで前回より計842万票を上乗せし、大票田を制したことが勝利につながった。
 一方で、イスラム保守勢力を味方に付け、現政権の外国依存や生活苦を非難して支持を伸ばしたプラボウォ組は、西スマトラ州(86%、前回77%)をはじめとするスマトラ島や西ジャワ州(60%、前回60%)などで圧勝。地図上の「分断」が顕著な結果となった。

■下町で勝利宣言
 ジョコウィ大統領が21日昼、勝利宣言の場所に選んだのは、ジャカルタ特別州知事時代の2013年にスラム再建計画の第一号として手掛けた中央ジャカルタ区タナティンギの「カンプン・デレット」。炎天下、線路沿いの下町で住民たちを前に「われわれへの信頼に感謝したい」と述べ、たたき上げの「庶民派大統領」であることをあらためて印象付けた。
 一方、敗北が決まったプラボウォ氏もほぼ同時刻、南ジャカルタ区クルタヌガラの自宅で会見し、「不正選挙の結果は受け入れない」と宣言。 当初、法的解決ではなく「ピープルパワー」と称した大衆動員で抗議する構えも示していたが、一転して憲法裁へ提訴する考えを表明した。24日までに提訴しなければジョコウィ氏勝利が確定するが、提訴すれば確定は6月下旬ごろにもつれ込む。
 KPUは当初、22日をめどに結果を公表するとしていたが、21日午前1時50分ごろに急きょ結果を公表。中央ジャカルタのKPU前のイマム・ボンジョル通りは400メートルにわたり全面封鎖され、周辺の混乱は避けられた。
 同日午後2時ごろには、サリナデパート向かいの総選挙監督庁(バワスル)前に大勢のプラボウォ支持者が集結。ホテル・インドネシア前ロータリー北側から中央銀行までタムリン通りは全面封鎖された。夜の礼拝を終えてからデモは解散し、大きな混乱はなかった。

■野党連合、求心力低下
 プラボウォ氏は投票日以来、ジョコウィ陣営からの面会要請を拒否。退役軍人やイスラム保守勢力を動員し、「組織的な不正選挙」を糾弾することで求心力を維持していく構えを見せてきた。しかし一方で、プラボウォ支持で団結していた野党連合が選挙を終え、早くも解体に向かっている。
 民主党を率いるユドヨノ前大統領の長男アグス氏は2日にジョコウィ大統領と会談するなど、与党連合入りを模索する動きを見せている。またイスラム系の国民信託党(PAN)も21日、ジョコウィ氏勝利を認めると表明し、プラボウォ陣営から距離を置く構えを示唆した。
 今回の選挙は大統領選と国会議員・地方議員など五つの選挙を史上初めて同時に開催。全国約81万カ所に投票所を設け、各地で開票時間が30時間以上に及ぶなど、重労働が深刻な問題になった。作業にあたった選挙委員や警察官らの過労死も相次ぎ、死者数は21日までに609人に上った。(木村綾、写真も)

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