公共交通網整備へ 水道普及率引き上げ アニス知事東京で講演

 ジャカルタ特別州のアニス・バスウェダン知事は20日、東京都内で講演し、今後の首都行政の基本方針を明らかにした。市内のどこでも500メートル以内に公共交通網を整備するほか現在60%の水道普及率を100%に引き上げるなど、一般市民の生活向上に向けた政策を繰り広げる。

 同知事は、6月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議に先立ち、東京で20日から3日間開かれる国際会議URBAN20(同サミット参加国首都の首長が参加する会議)に出席のため来日、笹川平和財団主催の講演会で州知事就任以来、初めて日本で知事としての見解を明らかにした。
 まず行政運営の基本理念として(1)市民間の平等(機会均等)(2)市民の最低限の必要性を満たす活気ある経済(3)社会的機能を満たした近代都市(4)安全で活発で文化的な都市(5)資源を有効活用し継続性のある発展に注力(6)市民全員により良い都市になるような市民各層の協力推進——といった考え方を提示。
 具体策の一例として最近、運転開始した大量高速鉄道(MRT)、次世代交通システム(LRT)、トランス・ジャカルタ(バス)などを優先的に組み合わせる輸送網を形成する考えを示した。構想ではMRTの総走行距離を2030年までに223キロ(現在16キロ)、LRT116キロ(同5・8キロ)、トランス・ジャカルタ2149キロ(同431キロ)へ輸送網を拡大し「500メートル以内」を実現する。
 この構想実現のため同知事はジャカルタ特別州の輸送会社11社に協力を呼びかけて「公共交通一体化」作業に着手していることも明らかにした。交通政策では優先順位を歩行者、オートバイ(二輪車)、公共交通、私有車とする考えも明らかにした。こうした政策によって、対象の交通システムはもとより、特別州全体の運営が市民に公平で活気に満ちた近代的で永続的になる、と指摘した。
 水道でも、現在、貧しく水道がない世帯が飲料水に支出する負担は、水道がある世帯に比べてはるかに重いと数字を挙げて説明、こうした社会的不公平を除くためにも2030年には水道を全家庭に普及するための作業に入っていることも明らかにするなど、同知事は「公平」を基本原則に行政を進める考えを示した。
 講演後の質疑応答では、ジャワ島外への首都遷都、中国の対外進出問題、次期大統領選挙への考え方などさまざまな質問が出た。

■人口は1030万人
 また、同知事は、2018年現在のジャカルタ特別州の人的データも明らかにした。
 それによると人口は1030万人、市民1人当たりのGDP(国内総生産)は1万4570ドル、人口密度(1平方キロ当たり)は1万4464人。
 市民の民族別割合はジャワ人35%、ブタウィ人28%、スンダ人15%、華人6%、バタック人4%、ミナンカバウ人3%、ムラユ(マレー)人2%。宗教別ではイスラム教徒85%、プロテスタント8%、仏教徒3%、カトリック教徒3%、ヒンドゥー教徒0・2%。(小牧利寿、写真も)

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