活発な意見交換で組織強化 19年度JJC理事長 住友商事・東條さん

 ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)の2019年度理事長に就任した東條観治さん(インドネシア住友商事社長)は、投資環境改善に向けた提言活動などの従来からの取り組みと並行して、組織運営体制の強化を掲げる。今まで築き上げてきた土台を大事にしつつ、意見交換を活発にしていく方針だ。「口うるさいぐらいにチームワークの大事さを唱える」という東條さんに、今後のJJC活動や社業の展望について聞いた。

 住友商事本社の兵頭誠之社長は10~12年に現法社長として駐在し、11年度にはJJC理事長を務めた。東條さんは「この国に来るにあたって、インドネシアのためになることをやればいい、とアドバイスを受けた」と話す。「これを実践することが、結果的には自分や会社、日本のためになると考えて仕事をしていく。オール・ジャパンでやっていきたいとJJCの皆さんにもお話している」と語る。
 インドネシアでは、かつては援助国・投資国としての日本の存在感が大きかったが、成長していく中で現在は過渡期にある。「過去と同じような接し方では『必要ない』と言われる可能性がある。何が必要か、どこでお手伝いできるかというのを考えつつ、一緒に仕事をできればと思う」と話す。
 また、「中国や韓国というパートナーもいることを踏まえつつ、対応していく必要があると感じている。カディン(インドネシア商工会議所)やアピンド(インドネシア経営者協会)、他国商工会議所などとも情報交換しながら提言活動を続けていく」と方針を示した。

■強まる組織間連携

 住友商事はインドネシア国内に35の事業会社を持ち、その会社には計1万5千人以上のインドネシア人社員がいる。「それぞれ事業領域が違う会社だが、日本人もインドネシア人も分け隔てなく一緒になり、この国のためにどんなことができるかを考えてくれている」
 東條さんは専ら建機畑を歩み、米国、カナダ、中国での駐在経験がある。直近では、本社の建設機械事業本部長を務めた。インドネシアに来て約1年がたち、「電力や物流など多くの事業領域を幅広く見るようになって楽しい。インドネシアには活気があり、将来的にさまざまな需要が出てくると感じている」と期待を話す。
 住友商事が元来、インドネシアで中核事業として進めてきたのは、石炭火力・地熱発電所運営や自動車関係のファイナンス、日野自動車と連携したトラック販売、物流事業などだ。今後の展望について、「それぞれの事業をやっていく中で人脈が生まれ、今までなかった新ビジネスの可能性が生まれる。横展開するための組織間連携も活発にしていく。それができる地盤がある」と語る。
 JJC活動や社業に共通するのは「インドネシアが抱えてきた問題は過去の日本が通ってきた道であり、克服してきた課題でもある。知見を伝えながら、一緒に汗をかいていけば必ず解決できる」という考えだ。
 JJCの会員企業に対して、地場の企業から仕事の依頼が来た場合には、「自分の会社ではできなくても他の企業と相談してみよう、という感じになれればうれしい。フォー・インドネシアで仕事をしていく」と熱意を見せる。
 東條さんのサラリーマン人生は「決して順風満帆ではなく、事業会社などでは怒られることも多い人生だった。でも、国籍を問わず素晴らしい仲間に恵まれて一緒に仕事をしてきたから、乗り越えてこられた」と振り返る。
 商社マン、ビジネスマンにとって大切な要素は「好奇心」。「分からないことをそのままにしないで聞く姿勢を持っている人。若い気持ちと好奇心は忘れないでいたい」と笑った。(平野慧、写真も)

 とうじょう・かんじ 1985年慶応義塾大学商学部卒業後、住友商事入社。99年建設機械第一部参事(トロント)、2010年建設機械第三部参事(上海)、13年建設機械第三部長。15年理事・建設機械事業本部長を経て、18年4月から理事・アジア大洋州総支配人補佐、インドネシア住友商事会社社長。
 1962年1月東京都生まれ、57歳。ジャカルタでの楽しみは、帯同で来ている家族との触れ合いやゴルフなど。

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