再びの分断を懸念 5月暴動から21年
スハルト独裁政権崩壊の引き金となった1998年の5月暴動発生から13日で21年が経過した。各地で催しが開かれ、犠牲者の追悼や真相解明を求める集会が行われた。当時を知る華人からは、近年政治を背景に社会の分断が再び深刻化していると懸念する声が聞かれた。
暴動は陸軍特殊部隊(コパスス)がトリサクティ大(西ジャカルタ・グロゴル)構内に集結していた学生デモ隊に発砲し、4人が死亡した事件を発端に発生。各地に広がり、スハルト政権の崩壊につながった。
暴動発生当時、西ジャカルタで会社員をしていた華人のマリアナさん(54)は「勤務していた事務所が襲撃されたのは同僚と外出した直後だった。運が悪ければ、自分もどうなっていたかわからない」と振り返る。
政治を背景にしたイスラム擁護戦線(FPI)など強硬派グループの台頭を懸念。「反アホック運動や今回の大統領選で、少しだけ当時に似た雰囲気を感じることがあった。同じ悲劇を繰り返してはいけない」と話した。
12日にも各地で、トリサクティ大学生襲撃事件の被害者を追悼する催しや、真相究明を求める集会が開かれた。(大野航太郎)