バティック展開幕 スナヤン・JCC 260店、日本素材も
バティック(ろうけつ染め)展示会「グラル・バティック・ヌサンタラ(GBN)2019」が8日、中央ジャカルタ区スナヤンのジャカルタ・コンベンションセンター(JCC)で開幕した。12日まで5日間の日程。約260ブースが出展、ファッションショーなどのイベントも行われる。1万3千人の来場者、275億ルピアの取引を目指す。
同展示会は国内の伝統工芸品であるバティックを発展させるため1996年に初開催。ほぼ2年に1度開かれ、ことしで11回目。
ことしのテーマは「限りない継承(Lestari Tak Berbatas)」。主催のインドネシア・バティック財団は「バティックはもはや古いものではない。伝統を守りながら現在のライフスタイルに沿って、より創造的でより美しいものに形を変えてきた」と語った。
ことしはスマトラ島からのブースも見どころで、各地独特の特徴を持つデザインを楽しんでほしいという。バティックがジャワ島以外にも浸透していることを示したいという。
入場料は1人2万ルピア。9日のみ無料。開場時間は午前10時~午後9時。
■日本の素材普及
日本の旭化成独自の素材「ベンベルグ(繊維名キュプラ)」のブースも出展されている。ベンベルグは、コットンの種の回りにあるうぶ毛で作られ、布にするとシルクのような肌触りや光沢を持つ。17年に初めてインドネシアに紹介されて以来、価格が高騰するシルクに代わる素材として注目を集めてきた。
8日午前中にブースを回ったアイルランガ・ハルタルト工業相が、ユスフ・カラ副大統領のムフィダ夫人にベンベルグを説明した。
絞りのストールなどを出展するジョクジャカルタ特別州の「マレンゴ」のデザイナー、ヌリ・ニンシ・ヒダヤティさん(27)は「コットンと比べても色の入りが良い」と話す。
当初から地元デザイナーとのコラボをコーディネートしてきたロイヤルシルク財団の黒田正人さんによると、同展示会では20ほどの工房がベンベルグを使っているという。
長年、国内バティック産業に携わり、主催財団の理事でもあるエディット・ラトゥナさんは「今、国内でシルクを手に入れるのは難しい。価格や色合いなど、ベンベルグはバティックに適している」と述べた。(上村夏美)