連携、提言活動を強化 1年間振り返り JJC武田前理事長
ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)で、1年間理事長を務めた武田浩文さん(双日インドネシア)が4月をもって退任した。1年間を振り返り、「まだまだやれることはたくさんある組織。JJCの活動を認知してもらう必要があると感じた」と話した。内外との連携強化や政府への提言活動を継続していくことの重要さを説く。
武田さんは日系企業のビジネス環境改善などを目的にした「提言能力の深化」を、理事長就任時にテーマとして掲げた。多くの会合に出席して、インドネシア政府や地元メディア、他国商工会議所の人と会うことに努め、日本企業のインドネシアへの貢献やJJCの活動について伝えてきた。
インドネシア国内で日系企業が輸出の2割、国内総生産(GDP)の1割、雇用の8%を占めている割には「期待や注目度が低い。これはアピールが足りないのでは。活動を知ってもらう必要がある、と感じた1年間だった」と話す。
他国商工会議所との連携強化は具現化した。労働省に提出した「外国人が従事可能な役職に関する要請」では、11の商工会議所・機関での連署を実現させた。「個別で動くことには限界がある。力を合わせないといけない」と強調する。
「インドネシア側の姿勢も変わろうとしている兆しがある」という前向きな意見も。国際協力銀行(JBIC)による「中期的有望事業展開先国」の調査で、インドネシアは2年連続で5位。13年度に1位に輝いて以来、後退傾向にある。「政府の中にはそのことを懸念して、変えていかなければならないという動きが出てきている」と話す。
国税総局のロベルト総局長との面談では、会員企業約30社がそれぞれ抱える、税についての課題を示した。それに対して、国税総局で特別チームを作り、詳細な調査をして10件以上の課題が解決しているという。従来なかった動きであり、今後に期待する声も多い。
JJC内でも各グループの連携、情報交換を強化した。また、理事会の議事録を早めに開示するようにするなど、会員企業が受けるサービスの向上に努めた。
■社会インフラに可能性
武田さんが現地法人社長を務める双日は、東カリマンタン州ボンタン市でメタノールプラントを運営している。さらに、同社と住友商事が半分ずつ出資する、エルエヌジージャパンによる液化天然ガス(LNG)事業、西ジャワ州ブカシ県の複合都市「デルタマス」開発が大きな事業の柱だ。
さらに考えられる新しい事業について「広い意味のインフラ。道路や港、空港だけでなく、病院や住宅など生活の基盤となるインフラ全般が必要」と語り、大きな可能性があるとした。
「税や労務の問題のように、日本の企業がきちんと動ける状況にならないと、自分の会社の事業も行き詰まる。他社と競争しながらも、力を合わせる必要がある」と、連携の重要性を改めて示した。(平野慧、写真も)